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2013年11月12日火曜日

Silent Japan 制作記 その3 

~シルバー925

 今回は、指板とヘッドの絵柄です。「ヤイリギター」があるのは美濃地方。今をさかのぼること400年ほど前、日本の文化が絶頂期にあった桃山時代に、この地方の焼き物である「志野」「織部」に特徴的な絵として、「沢瀉(おもだか)」が描かれていました。これを、日本文化の象徴として、Silent Japanに取り入れることにしました。


 沢瀉は、平安時代に日本に渡来したようで、水田や沼地にひっそりと生息しています。めだたず控えめでいいですね。私のお気に入りの植物です。


 当初の図案に描かれた通り制作されたのが、この指板です。

 
 拡大します。


 
 そして、この指板を、インレイが描かれたボディと組み合わせます。


 さらにヘッド部分です。「静和」すなわち「Silent Japan」の象嵌と一緒に「沢瀉」が描かれています。
   



 「加藤穂高さん」によると、ヘッドと指板に埋め込まれている沢瀉の材質は、「パロサント(緑壇)」という、とても重い香木で、大変珍しい南米産の木材だそうです。地味で渋いです。「パロサント」は、今はまだ薄い茶褐色ですが、時間の経過とともに木の表面が酸化して、より緑色に変化していく、という特徴があるそうです。沢瀉にふさわしいですね。


 ちなみに「パロサント」をネットで調べてみたら、「聖なる樹」と幸福を呼び込む香木として、(幻の)インカ帝国の時代から、アンデスのシャーマンが大切にしてきた、と解説がありました。なるほど。


 さて、この「パロサント」による沢瀉ですが、大変洒落たひと工夫がしてあります。上の写真ではよくわかりませんが、描かれた沢瀉の縁に、「スターリングシルバー925の、とても細いラインが添えてあるのです。

 こんな感じ




 この写真だと、「パロサント」で埋められた沢瀉の片側に、「シルバー925のラインが埋め込まれているのがよくわかると思います。作業を始める前に、穂高さんからサンプルでいただいたのですが、このアイディアに関しては、ヤイリギターの皆様ともいろいろご検討されたそうです。なんておしゃれで素敵な発想なんだろうと思いました。

 写真は、後日小池健司さんに、キーホルダー用に丸く切っていただいたものですが、丸い縁が、螺鈿細工用の貝でおおわれています。連れ合いに奪われそうになりましたが、何とか確保。もちろん今これを愛用しています。

 
穂高さんによると、「角度によって銀のラインが浮き上がる、まさに『いぶし銀』、といった仕様になりました」ということで、塗装によって、沢瀉に添えられた「シルバー925」のラインが、さらに浮き出てきており、控えめで大変美しいです。

 



 
 

2013年11月10日日曜日

「Silent Japan」制作記 その2

~最大の難関「正倉院の琵琶」~

 「正倉院の琵琶」は、約1300年前に製作されたものです。当時の工具・技術で制作されたものが、今でも現存するということ自体、奇跡的なことだと思います。

 その、正倉院の琵琶」に描かれている絵柄を、現代のギターに蘇らせようという、私の壮大なる思いは、言うのは簡単ですが、制作する方は、大変な覚悟と「志の高さ」そして、気の遠くなるようなご苦労があったことだと思います。インレイが完成した後にいただいた、「加藤穂高さん」からのメールに、このインレイにかけた彼の遥かなる想い(おそらく言葉では表せないような想い)が私にずっしりと伝わってきました。


「正倉院の琵琶」は、インレイ加工が施されている素材の部分は、堅くて安定した「ローズウッド」です。ところが、今回私がお願いしたのは、きわめて柔らかい部類の木材である「スプルース」で、しかもギターのトップボードですので、非常に薄いです。そこを掘って、貝を埋めていきます。
 

「加藤穂高さん」からいただいた、「制作途中の琵琶の模様のインレイ画像」です。貝を埋めて、磨き上げただけの状態の画像だそうです。この段階では、まだ細かな線の彫刻は入っていません。
 
 

続いて、サウンドホールを作る前の写真です。ホールの丸い線に沿って、ぎりぎりにインレイが描かれているのがわかります。すごい技術です。

加藤穂高さんによると、ギターのサウンドホールに美しく収まるサイズで製図したため、このインレイが、本物の正倉院の琵琶の70%の縮小サイズになってしまい、制作の難易度をかなり上げたそうです。このことが、細部の処理(おそらく花の中に極細に描かれている線でしょうか)などで違いとなって表れて、相当難しかったようでした。まさに、三重の生んだラリーロビンソン、奇跡のインレイ職人の本領発揮といったところでしょうか。神業としかいいようがありません



  
そして、私がネックの太さの調整のために、「ヤイリギター」さんへ行った際に撮影した画像です。まだ塗装前ですが、中に細かな線の彫刻が入っています。拡大します。

 





 



そして、最終的にこのように仕上がりました。
 
 
 
 
塗装が乗ると、「琵琶の花の模様の内側の金色のラインの彫刻」が、ひときわ鮮やかですね。
 

 
 

2013年11月7日木曜日

「Silent Japan」製作記その1

~制作開始…2年前~

 自宅にヤイリギターから大きめの封筒が届いていました。ドキドキしながら封を切って中身を取り出してみると、制作を依頼していたギターの図案でした。いよいよこれからSilent Japanの制作に取り掛かることになるのです。自分で制作についてイメージし始めてから、1年がたっていました

 今回のギターは「日本」がテーマです。何かにつけてグローバル化が叫ばれていますが、やはり我が愛すべき国は日本。日本をテーマにしたギターを作りたいと、3年ほど前から思い描いていたのです。そして震災以来、日本に対する思いはますます強くなるばかりでした。


 今回制作するギターももちろん、ヤイリギターの筆頭クラフトマンであるゴッドハンド「小池健司さん」と、日本を代表する奇跡のインレイ職人「加藤穂高さん」、そしてプロデューサーが私の3人のコラボレーションです。といっても私の出番は、制作開始前のテーマを決めることとギターの材質選び、それにテーマにふさわしいイメージを描くことですが。


 今回のテーマは「静和」です。「和をもって日本となす」と、ロバート・ホワイティングがそういっています。英語で表すとSilent Japanとなるわけですね。
 
 すでに健司さんとは材質選びを終えていたのですが、問題はギターに描く、インレイのイラストです。ヘッドと指板は何とかなるにしても、私がロゼットの周り(サウンドホールの周り)に描いていただきたいと依頼していたのは、「正倉院の琵琶」をイメージしたものだったのです。
 
 琵琶本体は、分厚い木でできていますので、螺鈿細工で象嵌することは可能だと思うのですが、私が依頼しているのは、うすっぺらなギターの表面(トップ材)を掘って、そこに貝を埋め込む作業が必要になるわけです。こんなことが、人間業で本当に可能なのだろうかという思いだったのですが、「加藤穂高さん」なら、もしかしてやってしまうのではないかと期待していましたし、小池健司さん」「彼ならできると思うよ」と信頼していましたので、私も思い切って頼んでいたのです。
 

 さて、送られてきた原寸大の図案を見たのですが、圧巻でした。



 指板には、桃山時代に、ヤイリギターのある美濃地方で、名もない陶工によって描かれた「沢瀉(おもだか)」という水生植物を描いていただくようお願いしました。「沢瀉」の図柄集は、画集としてまとめられているのですが、加藤穂高さんは、これらの絵柄を集めていろいろ検討していたようでした。

  そして問題のサウンドホールの周りです。



 私のイメージした絵がこれも原寸大で描かれているではありませんか。

 もし、薄い板に螺鈿細工を掘るのが無理であれば、絵が描かれているはずはないのですが、私の目の前にある図案には、確かに描かれています。つまり象嵌が可能だということなのです。信じられないけれどそうなのです。

 

 この後の私の役目は、ネックの調整だけですが、制作開始から2年の間に、「小池健司さん「加藤穂高さん」からいただいた画像をもとに、お二人の渾身の一作「Silent Japan」の制作記を、6回に分けてまとめてみようと思います。

 


 
 

2013年11月5日火曜日

「血が通っていない!」と半沢は言った

~半沢直樹で記憶に残る言葉~

 テレビドラマの半沢直樹」を、言われるまま第6話から見始めたのですが、専門家からするとちょっと無理があるとはいえ、なかなか面白かったです。

  第何話かは忘れましたが、伊勢島ホテルの再建と金融庁対策を頭取から任された半沢は、途中で行き詰ってしまいます。大和田常務に土下座してまで、担当を外すのを少しだけ待ってもらうことになったのですが、ここで半沢に対して、銀行内で金融庁対策の「模擬審査」を行うことになります。行内若手ホープの福山次長と対決することになりました。

 このシーンで、福山はタブレットを駆使して半沢を追いつめていくわけですが、最後に半沢の逆襲が始まります。あの長いセリフです。反撃のきっかけとした言葉は、「血が通っていない」でした。福山が提案した伊勢島ホテルの再建策を、「血が通っていない」と断罪するわけです。「企業は人」「先入観だけで判断してはいけない」「現場が大事」…。その通りですね。


 ドラマを見ていて、この「血が通っていない」という言葉に反応しました。どこかで聞いた言葉であると。それは、監査を受ける側からお聞きした言葉でした。その方が属する団体で、話題になっているのだそうです。


 監査をする側の人たちは、大部分の人が、血が通っているかいないかなど、おそらく考えたことはないと思うし、そもそも監査に血を通わせる必要があるのかと考えているのかもしれませんが、監査を受ける側の人たちは、そのような思いをしているのだと、あらためて立場の違いを考えずにはいられませんでした。
 

 「血が通う監査」とは、もちろん会社にとって都合のいい会計処理を容認することでは決してないし、独立不羈の第三者である監査人が、企業側に有利に立つことなど到底できることではありません。
 

ただ、「財務諸表は記録と慣習と判断の総合的所産である」とも言われています。監査を受ける側の立場も理解してこそ、最も望ましい会計処理ができるのではないかと考えます。
 
「血が通う監査」とは何かについて、ここではコメントは差し控えますが、将来再び監査をやることになったら、「血の通う監査」を頭の片隅に置いて実施したいと考えているのです。


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2013年11月2日土曜日

蕾のバックナンバーに

~美濃唐津のぐい飲み~


 360冊購入した「小さな蕾」のバックナンバーをコツコツ読んでいるのですが、今度は私の目に触れた一品の登場です。

 昭和56年の5月号を読んでいたら、ある方の投稿エッセイに、「絵志野四方向付」の事が書かれていたのですが、写真を見て驚きましたね。このエッセイには、「鎌倉の某庵」とのやり取りが記載されていたのですが、私の記憶にあるものでした。なぜか、それは私のところに「小さな蕾」のプロカメラマン「野村淳」さんに撮っていただいた写真があるからです。

 雑誌には志野とありますが、この道の専門家に言わせると、「美濃唐津」だそうです。私もそう思います。では、この一品は私の所有物かというと、残念ながらそうではありません。私の目の前を通り過ぎて行った物です。私の所有物であれば、ここにその写真を掲載するのですが、よそ様の所有物の写真を勝手に私が掲載するわけにはいかないのです。

なぜ私のものでないのに写真だけはあるのか、理由は箱にあります。これも立派な写真があるのですが、同様の理由で掲載できません。

 「黒田滔々庵」の箱書きです。雑誌に記載の「鎌倉の某庵」とは、黒田滔々庵の事です。これだけ立派な箱書きがあると、値段も高いのではないかと勝手に解釈してしまい、「おいくらですか」の一言が出なかったのです。ぐい飲みとしてはちょっと大きいかもしれませんが、志野のぐい飲みはなかなか市場には出回らないだけに、購入しておけばよかったかなと今では多少後悔しています。

 今頃どこかのコレクターのところに落ち着いて、夜の友として活躍しているのかもしれません。

 悔しいです。

 
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2013年10月31日木曜日

ゾディア


~新シリーズ 川柳番号 3 ~
 
<SW(スワップ)は サンドウエッジかと ゴルフ狂>
 
   …宮地社長との出会い…

 会計士業界の人は、SWといえば、すぐスワップ取引が頭の中に浮かびます。通貨スワップとか金利スワップなどという取引です。でも、今回はゴルフの話なのです。

 ゴルフクラブに関しては、私はいつもなじみのOさんにお願いしています。立浪とか清原等、いろいろ有名人のクラブも取り扱ったことがあるそうです。奥さんは、「宮里藍」選手と高校の同級生で、同じゴルフ部に所属し、プロを目指していたようですが、首や肩を痛めてしまい、プロは断念。でも、国体の県代表として活躍していました。ちなみにその母親は、私の高校の同級生です。

  今回、そのOさんにお願いしたのは、SW」です。スワップでない方の、サンドウエッジ」の方です。今、ウエッジは、フォーティーンのDGシャフトを使っているのですが、同じ職場だった、ゴルフが大変うまい「若手3人組」の、Uさん、Aさん、Yさんが、いずれも「ゾディアのウエッジ」に変えたというではありませんか。しかもUさんはアイアンまで。
 
 こうなると私としても、「ゾディア」が気になって仕方ありません。いつか「ゾディア」の工場へ直接行って、自分に合った一本を手に入れようと考えていたのです。ところが、この一年半ばかり、骨折や首痛・肩痛などで、ゴルフ運から見放されていたため、残念ながら足が遠のいていたのでした。


 やっとゴルフができる体調に戻ると、道具の事が気になってきます。「ゾディア」の事も頭の中にあったのですが、いつも通りクラブに詳しいOさんに、最近いいウエッジがないかどうか、電話で聞いてみることにしました。早速電話すると、Oさんは、

「最近気になるいいウエッジがあるんですよ」というわけです。

「フォーティーンかボーケーですか」と私

「実はゾディアというメーカーなんですけどね」

「え~!ゾディアですか、それって私がほしかったやつですけど…」

こうなると話はとんとん拍子に進みます。スペックを決めて連絡することにして、電話を切りました。そうすると、その後ものの3分もしないうちに、彼から電話がかかってきたのです。

「たった今、ゾディアの宮地社長からケータイに電話がかかってきまして」

ということなのですね。こんな偶然があるのでしょうか。こうなったら話は早い。実際に試打させていただくことにしました。ありがたい話です。


結局選んだのは、ゾディアの新シリーズで、「名匠・千葉文雄」の「CHIBA MASTER  PIECE WEDGEです。52015801に決めました。シャフトは、KBSモーダスを打たせていただいて、特にKBSが打ちやすくて気に入ったのですが、アイアンからの流れを考え、「ディアマナサンプ」の重い方のシャフトを特別に装着してもらうことになりました。グリップは「イオミック」の、アーミーグリーンです。


これでまたゴルフをやる楽しみができました。出来上がりが待ち遠しです。クラブが届く前から、すでにうまくなってしまったような気分です。


それにしても、「ゾディアのアイアン」の試打クラブ、打ちやすかったです。第一弾、第二弾とあっという間に完売となったそうですが、第三弾もあるそうです。

「予約できますよ!」

と、宮地社長。でも…予約したいけど…近くから浴びせられる冷たい視線が気になります。
 
 

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2013年10月30日水曜日

潮騒のメモリー

~俺はまだ北へ帰らない~

 NHKの朝の連続テレビドラマ小説に関しては、大昔「おはなはん」を見ていた記憶があり、歌も歌詞もいまだによく覚えているのですが、でもその後はほとんど見ていませんでした。

 たまたま連れ合いが、「朝まであまテレビ」という番組を予約録画していたのですが、見る気がしません。ただ、「あまちゃん」は、番組は見ていなくても、出だしの音楽だけはその斬新さに大いに気になっていました。そしてついに、だまされたと思って見てしまったのです。はまってしまいました。

 番組の中で何回も歌われていた「潮騒のメモリー」ですが、なかなかいいですね。テレビを見ているうちに頭からメロディーが離れなくなってしまいました。そしてついに買ってしまったのです。CDシングルを。シングル盤を購入するのは何年振りだろうか。

 この歌の歌詞で気になっていたのは、「ジョニーに伝えて 千円返して」というところです。最初は、番組の中にジョニーという人はいないし、なんで唐突に千円返せなのだろうかと思いましたが、これは「ジョニーへの伝言」という名曲のパスティーシュなのですよね…きっと。


 さて歌詞を見ていきます。


「北へ帰るの 誰にも会わずに

 低気圧に乗って 北へ向かうわ…」
 

 なるほど。いろいろ事情があって、北へ帰るのだそうです。

 一般的に人は北へは向かわないと言われています。南の方が暖かそうだし、当然暮らしやすいでしょう。それに比べて、北はどうしてもマイナスイメージが付きまといます。

 北へ向かった人では、小林旭が有名ですね。「渡り鳥北へ帰る」の「北帰行」…♪窓は夜露に濡れて…「北へ」という歌もありますし、また、「熱き心に」では♪北国の~と歌っています。孤独な人には、北が似合います。


「北へ行くのね ここも北なのに

 寒さこらえて 波止場で待つわ…」


 よくわかりません。


「潮騒のメモリー 私はギター

 Aマイナーの アルペジオ 優しく…」


 いいですね。優しく奏でてほしいのだそうです。私がこの曲の歌詞の中で一番好きなところです。この曲の歌詞の出だしも、「Am」ではじまります。

 そういえば、37年前に作った「雨のそぼ降る日曜日」という曲を思い出しました。

 
 「♪愛を奏でる二人の指先も 別れの曲とは知らないで…♪」

 切ない歌ですが、懐かしいです。なにしろ二十歳のころに作った曲ですから。残念ながら、売れませんでした。
 

 北国生まれの私にとって、東北は本当にいいところ」です。

 越麻呂がそう言っていたと、ジョニーに伝えてほしいのです。



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