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2011年12月30日金曜日

今年よかったこと

~最後に明るい話題で~



 今年も残りあとわずか。あまり思いつかないかもしれませんが、個人的なことも含めて、私の身の回りで起こった良かったことを、思いつくままにあげてみたいと思います。


■なでしこジャパンのワールドカップ優勝
 この試合は最後まで見ていました。延長戦での沢選手の同点ゴールのシーンには感動しましたし、ペナルティキック合戦はハラハラドキドキ。そして勝利の瞬間には喜びが爆発しました。最後まであきらめてはいけないという典型的な出来事でした。


■落合ドラゴンズのセ・リーグ優勝
 こちらも決してあきらめないという信念を感じたシーズンでした。日本シリーズで敗れはしましたが、乏しい戦力でよくぞここまでと、こちらも感動!


■アマチュアゴルファーの松山君がマスターズでベストアマ
 仙台出身の彼は最後まで出場を迷ったようですが、地元の応援を背に見事ベストアマを獲得。その後は被災地区でボランティア活動に励み、秋にはプロの試合である太平洋御殿場コース行われた大会で優勝しています。スケールの大きいゴルファーに育ってもらいたいです。


■独裁国家に自由の光が差し込んできた
 アフリカを中心に独裁政権が連鎖的に倒されました。多くの犠牲者が出ましたが、自由国家への第一歩を踏み出しました。


■タイガーマスク現象
 恥ずかしがり屋でなかなか表だってできなかったけれど、本当はやさしくて誰かの力になりたい控えめな日本人がたくさんいることを、改めてうれしく思いました。


■いい曲に出会うことができた。


■よい美術品を見ることができた。


■犬に話しかけられたような気がした
 どんな犬でもすれ違うと、いつも私に寄って来るのですよ。


■料理のレパートリーが増えた。


■コレステロール値が下がった
 薬のせいですが・・・。


■自宅の植物が元気に育った。


■隠れ家的小料理屋さんを見つけた
 7月以降仲間を誘ってよくいきました。おいしかったです。ありがとう。


ぶろぐ村に登録して一か月で2位までたどり着いた
 ご愛読ありがとうございます。より一層面白い内容にします。


■お茶をおいしく点てることができるようになった。


岩の湯に連泊することができた。


ヤイリギターの企画に感動した。


 そして体調問題はあるにせよ、何よりも1年間無事に生き延びることができました。もしかして今年2011年は、後で振り返った時、歴史的にみても大きく刻まれる1年だったのかもしれません。


2011年12月28日水曜日

振り返るより前を向いて

~つらい一年でしたが~


 今年ももうすぐ終わろうとしています。戦争体験のない世代にとっては、今年はかなりつらい一年だったような気がします。春にはタイガーマスク現象があり、日本もなかなかすてたもんじゃないなという誇らしげな気分になっていた矢先、震災ですべてが吹っ飛んでしまいました。そしてその後は無力感に襲われてしまいました。


 でも、震災直後の東北人のじっと耐える姿や我慢強さ、それにみんなでこの国を何とかしようとする日本人の思いには、心を打たれました。日本だけがよければいい、自分の会社だけがよければいい、自分だけがよければいいという発想が、いかに身勝手な発想であるかということが、身に染みてわかったような気がします。自分も何かの役に立ちたいという思いを持った人は多かったのではないでしょうか。

 
 また、今年は政治家の問題発言が多かったような気がします。世間の感覚とはかなりずれているような気がしました。人材不足というか、この国を安心して任せられる人がいつからこんなに少なくなってしまったのでしょうか。同様に、マスコミが取り上げる内容にもなんとなく偏りを感じるのも、今後のこの国の将来の事を考えるとなんとなく気になります。


 今年一番感じたのは、責任を取ろうとしない人がいたるところで目についたことです。いわゆる「想定外」という言葉がはやりましたが、これは、「こんな出来事は想定外のことだから、私には責任がないのだ」ということが言いたいのでしょう。世間の常識や当たり前の意見が耳に入らないというか、自分に都合のいいようにだけ解釈してしまい、なんとも思わなくなるのでしょうね。


 まあ、そういった年ではありましたが、残念ながらもう終わってしまったことはどうしようもありません。私にも「人間は現実をありのままを受け入れて生きていくことしかできない悲しい存在である」という文章を読んで、悲壮感を漂わせながら生きていた時代がありました。でも将来を変えていく力はあると信じたいです。


 来年はひたすら前を向いて歩いていきたいものだと思います。 

2011年12月26日月曜日

冷温停止とは言うけれど

~原発収束は誰かがこの目で確認したのだろうか~



 日経新聞一面下段の評論「春秋」は欠かさず読んでいるのですが、12月8日のテーマは「大本営発表」でした。今年は真珠湾攻撃からちょうど70年です。


 今年3月に起こった原発事故。テレビの映像を見ていても、相当危ない状況になっているのではないかと素人目にも判断されたのですが、東電や政府の発表やテレビの解説を聞いても、すぐには大変なことにはならないといった感じの報道でした。大丈夫と言っておきながら、実は大変なことになっていたなどということはよくある話です。本当に大丈夫だろうかと心配して毎日報道には気を付けていたのですが、事故から半年以上経過して、なんとなく静かになりかけてきたころに発表されたのが、実は地震発生当初のかなり早い段階から原子炉はメルトダウン状態だったというではありませんか。大勢の国民はやっぱりなと思ったことでしょう。本当にわからなかったのか、あるいは国民を心配させまいとして隠していたのであろうか。そのあたりはどうだったのでしょう。


 福島第一原発の現場にいた吉田所長のインタビューもかなり衝撃的でした。今だからこそ落ち着いて新聞記事を読んでいられましたが、何度も「もうこれで死ぬかなと思った」という発言は、極限状態を経験した人にしか出てこない言葉だと思います。吉田所長の判断と決断力と行動がなかったら、日本はもしかして今頃はしばらく立ち直れないような状況になっていたかもしれないのですから。


 そして今度は、原発の冷温停止宣言です。誰かが自分の目で原子炉内を確認しに行ったのだろうか。それとも単なる推測なのでしょか。もう安全だと信じていいものかどうかわかりません。新聞各紙は一面でこの政府の発表を取り上げていましたが、まだ多くの国民が疑いの目で聞いているのではないでしょうか。


 都合の悪いことを隠す体質は最近あちこちで目にしますが、特に報道する側にとっては真実を伝えることは大事だと思います。なんかおかしいなと思うような都合のいい発表には、常に疑いの目を持って臨んだほうがよさそうです。

2011年12月21日水曜日

あなたはトマトラーメンを許せるか?

~久しぶりの大阪オロオロ出張だった~



 東京出張は日帰りを含めよくあるのですが、今回は久々大阪出張です。大阪といえば橋下市長、大阪都構想。さぞかし活気があるのだろうなと思ったのですが、当日は冬の雨。傘をさして下を向きながら目的地に向かったのでした。それにしても、地下鉄御堂筋線の切符の購入には思いっきり焦ってしまいました。以前来たときは単に券売機にお金を入れて金額ボタンを押すだけだったのですが、今回は目的とする行先の切符の購入にたどり着くまでに、複数の手続きを踏まねばならず、慣れない私はどこを押していいのかわからずにオロオロしてしまいました。しかも早朝だったため、後ろには早くも列ができています。あちこちボタンを押して試行錯誤しながらやっと切符を購入することができたのでした。後ろにいた若い人は内心「この忙しいのにそこのおっさん何やってんの、これだから田舎モンは困るよなぁ」とさぞかしイラついていたことでしょう。


 目的の仕事をとりあえず終えて、宿泊先のホテルに向かいます。宿は地下鉄心斎橋駅を出てすぐのはずですが、どうも方向感覚がよくわかりません。いったいどっちの方向へ歩いて行ったらいいのだとここでもオロオロしていると、お店の入り口に若いお姉さんがいるではありませんか。このホテルへはどうやって行ったらいいですかと聞いたのですが、店の中の人に聞いてみますといってドアの中に入っていきます。私も入ろうとしたところ、そのお店はなんと秋田・岩手・青森の東北物産展のお店ではありませんか。「おぉ私は実は秋田県出身なのですよ」と話したところ、そのお姉さんは「この人秋田の人なんですよぉ」と大きな声でお店の人たちに話してくれ、大変親切に宿の場所を教えてくれました。その女性はなんとなく秋田美人風でしたので、どこのご出身であるのかなどと食事でもしながらその辺のことをいろいろお話したかったのですが、目下の私の目標は、PCや本や雑誌・着替えをはじめ、パンパンに張りつめているこの重い鞄を何とかすることです。とりあえず教えていただいた宿を探し当て、やっと一息つくことができました。


 部屋で一段落した後は夕食です。いつも出張の際一人で夕食をとるときは、ラーメン餃子ビールの黄金の3点セットで済ますことにしていたため、地下鉄駅構内の通りをぶらぶら歩いていました。そうしたらやはりラーメン屋さんがあったため早速突入。醤油にしようか味噌にしようかとラーメンのメニューを眺めていたところ、なんとトマトラーメンという活字が目に飛び込んできたではありませんか。私はたまに「CoCo壱番屋」のカレーを食べるのですが、いつも完熟トマトを注文し、それをカレーにかけて食べます。はたしてトマトがラーメンに合うのであるかという疑問が大いに私の頭の中に湧き上がってきたのですが、昨年はトマト鍋なるものがはやったことでもありますし、食文化にこだわりのある大阪人の食べるラーメンのメニューにあるのだから、間違いなくおいしかろうという期待と、多少の好奇心もあって、そのトマトラーメンなるものを注文したのでした。餃子をつまみにビールを飲んだ後、早速トマトラーメンを摂取したのですが、なかなか微妙な味でした。軍配は「CoCo壱カレー完熟トマトかけ」の勝ちですね。いい経験をさせていただきました。


2011年12月19日月曜日

「絆」でよかった今年の漢字

~おもわずやったぁ!と叫んでしまった~



 今年を象徴する漢字は「絆」に決まりました。最近ずっと気にしていましたので、うれしかったです。全国公募の中で一番票が多かった字に決まることになっていたのですが、途中経過では「原」が1位、そのあと「災」「被」「震」「波」など震災関連の字が上位を占めており、 「絆」 は8位だったのです。個人的にはぜひ 「絆」 が選ばれてほしいと思っていましたので、ニュースで確認した時にはおもわず「やった!」と心の中で叫んでしまいました。やはり震災関連の字が選ばれるのには、私としては抵抗がありましたので。


 「今年の漢字」は1995年から始まったようですが、なんと最初の年の字は「震」でした。この年には阪神淡路大震災が起きているのです。その後「食」「倒」と続き、2004年には「災」が選ばれています。2007年には「偽」そして昨年は「暑」でした。


 気が早いのですが、「来年の漢字」を当ててみたいです。「復」「希」「生」などが上位に来るような年であってほしいですね。


 私の好きな「遊」など、今はとてもそんな時代ではないけれど、遠い将来にでも一度でいいからこの字を見届けたいものだと思っているのです。

2011年12月16日金曜日

年を取るのも悪くない?

~なんとなく心穏やかな心境に・・・~


 最近、自宅のベランダの窓から差し込んでくる穏やかな日差しにやさしい気持ちになって、ついボォ~っとしてしまうことがあります。ベランダには植物を目いっぱい植え込んでいるのですが、植物の葉が揺れると日差しもそれにつられてゆらゆら揺れ動いているのですね。このままずっとのんびり過ごしていたいなぁとなんとなく眺めていると、後ろから連れ合いが声をかけてきます。「爺っちゃん」と。おいおい、まだ55だぜ!人生これからが黄金時代なのだ。


 先日NHKで夜9時からやっているニュースを見ていました。男性のアナウンサーはたぶん私と同じくらいの年齢だと思いますが、その方がソフトバンク秋山監督にインタビューをしていた時に、「最近年を取るのも悪くないなと思うようになってきたんですよ」という発言をしていました。今年の日本シリーズは、落合ドラゴンズ秋山ホークスとの対決となったのですが、実はこの二人は現役時代、打撃タイトルを目指してしのぎを削っていた間柄なのですね。いつも落合の三冠王を秋山が阻むかどうかという構図でした。そういえばブーマーもいましたが。結局秋山がリードしていても、最終的には落合が逆転して三冠王を取るという結末で終わるのですが、その間の落合の発言や駆け引きがとても面白かったという記憶があります。


 今では落合は頭を丸めてしまいましたし、秋山の目じりには深くしわが刻みこまれていました。でもお互い年齢を重ねてから、別の立場で勝負するというのも、人生なかなか味わいがあっていいではないですか。アナウンサーはそんなことを言いたかったのだと思います。


 若いころは、年を取りたくないと思っていましたし、時間はすべての人に平等に流れているとはいうものの、年齢を重ねるにつれて一年一年が早くなるような気がするとはよくいわれることです。確かにその通りで、今年ももうすぐ終わろうとしているし、いったい自分はこの一年何をしてきたのだと思うことも事実です。でも一方で、年を取るのも悪くないという気持ちも、最近実感としてわかるようにもなってきました。なんとなくやさしい気持ちになってきたのでしょうね。


【年を取って変わったこと】
ゴルフの飛距離が落ちた。
若いころは「飛距離命」で、自分より飛ばす人が許せなかった。その代りOBも多かった。今は飛ばなくなった分、曲がってもOBゾーンまで行かなくなった。
酒量が減った。
若いころは日本酒は一升飲めたし、ウイスキーも一本空けることができた。ビールもどんぶりに入れて鉢巻きを締めて一気飲みをやった。俺がバカだった!今では一升飲めなくても、いいお酒をじっくり味わって飲むことができます。思えばワシも成長したのだ。
若いころは、酒にまかせて気に入らない奴は殴っていたし、世の中のおかしな出来事には目を吊り上げて怒っていた。でも最近では、しょうもない奴だなぁと許せるようになった。
一日を自分のために大事に過ごすようになった。
古いものの良さがわかるようになった。
日常の些細なことに幸せを感じることができるようになった。

 等々です。


 まぁそうはいっても、最近世の中がまた騒々しくなってきたため、まだまだ老け込むわけにはいかなくなってきそうな気配ではありますが。

2011年12月14日水曜日

川柳で学ぶ会計の話...その2

~川柳番号301 「鴻毛より はるかに重い 自見発言」~

 菅前首相の脱原発発言を「鴻毛より軽い」と発言したのは、海江田経済産業相でした。鴻毛などという難しい言葉を知っているとはさすがです。悔しいけれど、私は知りませんでした。そこでその時さっそく調べたのですが、鴻(おおとり)の羽毛で、非常に軽いもののたとえだそうです。時の首相発言をそのように批判するのも、なかなか勇気のいることだと思います。でも、そんな人には泣かないでほしかったです。


 菅前首相の発言が鴻毛より軽かったかどうかは別として、この人の発言は大変重い発言でした。自見大臣IFRSをめぐる発言です。IFRSについては、当初は2012年を目途に導入するかどうか(導入することをではありません)を決定し、導入する場合にはそこから3年ほどの準備期間を設け、2015年ごろに適用するという道筋が示されていました。ところがどういうわけか、出版業界は、あたかも早ければ2015年3月期にIFRSが強制適用となるかのような雰囲気を醸し出し、書店に行けば会計分野にはIFRS関係の分厚い本がこれでもかとばかりにあふれかえっていたのですね。しかも、IFRSは2期比較で開示しなければならず、比較年度の期首から適用されていなければならないから、実質3年前からIFRSを導入しなければならないし、システム投資も必要で、今すぐにでも準備に入らないと間に合いませんぞと、IFRS関係本は訴えてきます。人間の心理というのは恐ろしいもので、そういう場合には遅れてしまってはならないと焦ってしまいますよね。そういう私もそのうちの一人で、これまでIFRS関係の雑誌や本は何冊も読み、昨年末から今年にかけてはブログにも書いたように千ページ本を読破していたのです。 


 流れが変わったのは震災が起こってからでしょうか。なんとなくこの状況ではIFRSどころではないなと話していたところでした。公認会計士は会計の専門家ですから、もちろん勉強はするけれども、このまますんなりいかないだろうなという思いが頭をよぎっていたのですね。そこに出てきたのが新書版の「IFRSに異議あり―国際会計基準の品質を問う―」という本でした。確か出版されたのは5月くらいだったと思います。IFRS一辺倒の偏った考えに陥るのは嫌だったため、早速購入してこの本を読んでみたのですが、なかなか説得力のある本でした。そして、この本を読んでこういう考え方もあるな思っていた時に突然出てきたのが、自見金融担当大臣のIFRS導入延期発言です。2012年に導入するかどうかを決定し、準備期間を5年~7年設けるというものでした。これには正直驚きました。このようなこともあるのかと。


 IFRSを日本の会計にどのように適用していくのかということについては、企業会計審議会で議論されており、各委員の発言内容が議事録として公表されています。現在は11月の会合分まで議事録になっていて、全て目を通しましたが、内容を読んでいる限りでは、日本の上場企業すべてにIFRSを導入しようという意見は少ないように思います。連単分離、上場企業にも部分適用が今のところ多数意見のような気がしますが、皆さんはこれを読んでどのように思いますか。


 いずれにしても議論はこれからも続きますし、TPPもそうですが、IFRS問題も日本の国益に絡む大きなテーマですので、慎重に検討していただきたいと思います。


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2011年12月12日月曜日

公認会計士にとって必要な資質

~「モチベーション」「誇り」「使命感」~


 今年の公認会計士試験合格者が発表になってからほぼ1か月になりますが、合格者の皆様方が無事就職できたかどうか心配です。今年の試験はもうすでにご承知の通り、合格率がだいぶ下がり、合格者の数も大幅に減りました。ほんの3年ほど前の約半分です。それでも監査法人側の求人数は、さらにその半分ほどだといわれています。せっかく厳しい試験に合格したにもかかわらず、就職できない人が半分近くもいるという実態を、いったいどう考えたらいいのだろうか。「待機合格者」などと言い方をすり替えてはいるけれど、大変大きな問題だと思います。この道を選ぼうとした人たちには、ひとりひとりにそれぞれ、迷いと後戻りできないという大変な覚悟と決断・それに人生の岐路があったはずで、しかも膨大な時間と努力を費やしているはずです。その知識を生かせるような機会をぜひ得ていただきたいし、決断は間違っていなかったと後になって言えるような仕事についていただきたいです。


 公認会計士に必要な資質は何かと考えてみました。私は3つあると思います。以前NHKドラマ「監査法人」のDVDに用語解説を書いたのですが、その時に追加で書いて結局「ボツ」になった用語がありました。そこから引用すると


■モチベーション

公認会計士にとって最も必要な要素。たとえ日常業務がハードであっても、モチベーションを高く維持し続けることが、この業界で活躍するためには必要です。「志」ともいいます。志の高さと使命感。これがいかに重要であるかは、ドラマ「監査法人」をご覧いただけるとわかると思います。


■誇り

「地位やお金なんかいらない・・・誇りが俺を支えてくれる」いいセルフだと思います。地位やお金は後からついてくるもの。いい仕事をやっているという自負、つまり誇りがあれば、多少の困難でも乗り切ることができるということだと思います。他人の評価を気にしすぎると、仕事が少しつらくなりますけどね。


■使命感

ドラマ「監査法人」の中で、私のほうからドラマの中のセリフに取り入れてくださいとお願いした言葉が、公認会計士法の中にいろいろ含まれています。


【公認会計士法第一条(公認会計士の使命)】

 「公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする」



【公認会計士法第一条の二(公認会計士の職責)】

 「公認会計士は、常に品位を保持し、その知識及び技能の修得に努め、独立した立場において公正かつ誠実にその業務を行わなければならない」


ドラマでは、後者の条文を第6話の冒頭で取り入れていただきました。今こうして条文をPCに打っていると感じるのですが、あらためて重い条文ですね。私を含め全国で働く公認会計士は、我々の原点でもあるこの条文にもう一度立ち返らなければならないのだと思います。


 最後にもう一つ。正しいと思ったことをきちんと主張するのも重要な資質だと思います。間違っていることを間違っていると主張できないようでは、プロの会計士として情けないです。言ってもしょうがないとあきらめたら、それで試合終了ですよ。





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2011年12月9日金曜日

川柳で学ぶ会計の話...その1

~川柳番号101 「循環は 温泉だけだと 思ってた」~

 温泉が好きなので、以前から日程的に余裕ができると、よく出かけていました。若いころは蓼科や伊豆、また下呂温泉などによく出かけていたのですが、あるとき温泉雑誌を見ていたら湯布院の「亀の井別荘」のお風呂が大きく出ているではありませんか。私はそれを見て感動し、いてもたってもいられなくなって、その年に湯布院まで出かけることにしたのです。その後湯布院には夏休みを利用してよく出かけたのですが、だんだん軽井沢風(あまり行ったことないですけど)になってきたため、行くのをやめてしまいました。当時は源泉かけ流しなどという言葉はあまり聞かなかったのですが、どこかの温泉宿で、温泉と偽って入浴剤でごまかしていたことが発覚し、それ以来源泉かけ流しの温泉と、源泉を薄めた温泉と、単にお湯を循環させている温泉を厳密に区別するようになったのです。それまでは、「温泉宿はメシである」とばかりに、料理のおいしい宿を選んではあちこち出かけていたのですが、循環風呂にはどうも入る気にはならなくなり、安くてもいいから源泉かけ流しの宿を探すようになったのです。「温泉のお湯は体にいいんだわ」などと言いながら飲む人もいますが、循環だったら最悪ですね。過去に行ったことのあるいい温泉宿でも、後から循環風呂だったことがわかるとがっかりしてしまいます。


 その後、九州の黒川温泉にはよく行っていたのですが、ここ数年は忙しかったり休みをなかなか連続して取れないこともあり、場所的にも遠くてもう行かなくなってしまいました。その代りに最近では、仕事で疲れがたまった時に、メシよりも風呂にこだわって、車で2~3時間くらいで行ける岐阜や長野の源泉かけ流しの温泉宿に行くことにしています。なるべく連泊で観光はいっさいせず、部屋にこもってのんびり時間を過ごすことにしているのです。


 今年行ったのは「岩の湯」だけですが、ここは何年か前に予約しようとしたところ、一年先まで予約でいっぱいですと断られたことがありました。今年は震災の影響もあったのでしょうか、たまたまその日だけ空いていて取れてしまったのです。料理も風呂も素晴らしい宿でした。来年も行きたい!


 以前は循環といったら思い出すのは循環風呂だけだったのですが、会計の世界で循環というと、「架空循環取引」です。ここ数年会計監査人を悩ませています。数年前、IT企業の間でよく行われていました。売上を水増しするために複数の取引先との間で何回も売上を循環させ、売上と利益を水膨れさせる手法ですが、最近ではいろんな業種で行われているようです。


 3~4年ほど前、NHKドラマ「監査法人」の制作にかかわったのですが、台本や筋書きを考えていた時に、第3話で架空循環取引を取り上げました。IT企業のウインドメルという会社が、新製品のマクガフィンという機械を循環取引に利用していたのですが、ジャパン監査法人の健司にどうやってこの架空循環取引を発見させるかずいぶん悩みました。公認会計士協会から、循環取引等への監査上の対応に関する会長通牒が出ているのですが、そこにも書かれているように、循環取引は取引先が実在し、資金決済が実際に行われ、会計記録や証票もしっかりあることから、監査のプロでもなかなか発見するのは難しいのですね。


 結局健司には、「売上高の増減分析」「販売先への確認(ドラマでは実際に販売先に行ってヒアリングさせましたが、実際実務ではそこまではやりません)という監査手法を実施させ、見事にからくりを暴いて見せました。


 現実には発見するのはなかなか難しいと思います。


 テレビドラマ「監査法人」がDVDになる際に、付録としてドラマに出てくる専門用語の解説を書かせていただいたのですが、そこに書いた説明文を引用させていただきます。




【架空循環取引】

 複数の企業間で、実際には商品が動いていないにもかかわらず、伝票処理だけであたかも売買があったかのように見せかけて売上を計上する架空取引。当初は、ソフトウェアの売上計上基準があいまいなIT関係の企業間で、互いに共謀することにより行われていましたが、その後はIT企業に限らず行われていることが明らかになってきています。
 商品の移動が伴わなくても、伝票処理と入金があれば、循環取引の事実を監査で発見するのはなかなか難しいといわれていますが、商品の流れを追求することにより、健司は見事に架空循環取引の実態をつかんでしまいましたね。

~出典 NHKテレビドラマ「監査法人」DVD付録の用語解説~




 「川柳で学ぶ会計の話」はこれからもシリーズとして取り上げたいと思います。ご期待を!



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2011年12月7日水曜日

〆張鶴の誘惑

~「金」がついに~


 誘惑に弱いのである。思い込みが激しいほうなので、目の前に欲しいものがあると、どんなに時間がかかっても辛抱強く粘って手に入れようとしてしまいます。


 以前このブログでも「日本酒の話」で〆張鶴の大吟醸のことを書いた2010年12月10日2007年11月20日のですが、なかなか手に入らないお酒でした。10年ほど前にその存在に気づき、どうしても飲みたいと思っていたのですが、ある年の夏、車で新潟の村上市を走っているときに、偶然造り酒屋さんを見つけてしまいました。これも神様がめぐり合わせてくれたに違いないと思い、隣にある酒店に購入しに行ったのです。しかし残念なことに、大吟醸は毎年順番待ち状態で、キャンセルが出なければ予約すらできない状態でした。その後数年間にわたって年に一回通い続け、昨年やっと大吟醸の「銀」を手に入れることができたのです。もうここのお店の女性の店員さんとは、電話で注文できる仲となっていたため、今年もシーズンを迎えると早速電話で「銀」を注文。もしかしてと思って「金」もお願いしてみたのですが、やはりまだ厳しいようで、もしキャンセルがあればということでした。


 11月下旬になって、お酒の入った段ボール箱が届いたのですが、数を数えたら一本多いではありませんか。「ん!」と思ってよく見ると、なんと驚いたことに「金」が一本入っていたのです。封筒を開けてみると、「金の大吟醸、一本やりくり致しました」と書かれていました。ありがとね。


 今はもしかしてネットで注文できるようになったのではないかと思い、ためしに検索してみたのですが、特価と言いながらとんでもない値段がついており、しかも在庫数量ゼロでした。なんとなくホッとしましたけど。


 日本酒については、やはり秋田と新潟のお酒がおいしいのですが、我が55年間の人生で、最もうまかった日本酒を3本あげよと言われたら、秋田の「寿保年」「八海山の金剛心」・「〆張鶴(金はまだ飲んでないけど)」の大吟醸をあげますね。「寿保年」は、3年ほど前に造り酒屋の中を工場見学させていただき、すっかり顔なじみになってしまいました。「金剛心」もなかなか手に入らないのですが、ここ3年ほどお正月用のお酒として、なじみの酒屋さんから入手できるようになりました。〆張鶴「金」も長年の努力が実って今後は安定的に購入できるといいですね。


 10年以上前に、日本酒のラベルを集めてはコメントを書いていたのですが、今その時のラベル集を繰ってみると、〆張鶴の本醸造のことが書いてあるラベルを見つけました。そこにはこのように書かれていました。




平成11年8月26日に購入。トータルスコア4(5段階評価)。

【コメント】
この酒の存在を知ってから、一度は飲みたいと思っていた。そのチャンスは思いもかけず、名古屋からの帰り道村上で見つけてしまったのだ。しかし、吟醸酒は手に入らず、来年の予約もいっぱいで、結局買うことができずに特別本醸造だけ購入して通り過ぎてしまった。今回は○○円の徳利を買ってしまったため、この酒の出番となったのである。やはり〆張鶴は〆張鶴でうまかった。酒と器で至福の時を過ごした



2011年12月5日月曜日

ヤイリギターに行ってきた

~漂着松のその後~


 先週の土曜日、一年ぶりにヤイリギターに行ってきました。なぜ一年ぶりなのか?それは、昨年神代欅のギターを作っていただいたとき、次のギターの構想に入ろうと思っていたのですが、すでに何台分か予約待ち状態で、1年以上は順番待ちになりそうだったからです。ギターを制作していただく間隔としては、楽しみがあって、このくらいがちょうどいいのかもしれません。


 さて、今回訪問した目的は二つ。一つは新聞に掲載されていた、東日本大震災の津波で倒され流され打ち上げられた漂着松でギターを作るという試みを、私もこの目で見たいと思ったのと、もう一つは長年の夢だったギターの制作を依頼するためです。いつもは土曜日となると、見学者やギター仲間が集まっていて、健司さんの周辺はいつも賑やかだったのですが、今回は午前中にお伺いしたということもあってか誰もいませんでした。健司さんは真剣にギターと格闘していたため申し訳なかったのですが、声をかけさせていただきました。


 漂着松はすでにギター用に何枚かの板になっており、乾燥中でした。




 この松の板から何台分のギターを作ることができるのかわからなかったのですが、もし余分があったら、その板で私にも一台作っていただけるということでしたので、指板に象嵌する絵をお渡ししてきました。ギターとして生まれ変わってきたら大事にしたいです。


 オリジナルギターの制作依頼については、すでに一年前からテーマは決めていました。「Silent Japan」です。実家に飾ってある亡くなった母親の書「静和」からとりました。ロバート・ホワイティングの著書に「和をもって日本となす」という本があるのですが、世界に誇れる技術で日本を代表するギターを作りたいという思いを込めています。材質はキルトメイプル(英語)。ヤイリギターが西暦2000年を記念して制作したミレニアムギターが何台かあったのですが、その中に、オールキルトメイプルのギターがありました。その木目の素晴らしさに感動し、いつかはキルトメイプルのギターでオリジナルギターを作りたいと思っていました。それから待つこと11年目。やっと制作に取り掛かることができます。


 デザインはこれからですが、私がここ1年ほど温めてきたイメージがありますので、それを小池健司さんや加藤穂高さんと試行錯誤しながら固めていきたいと考えているのです。少しだけこっそり教えると、「正倉院の琵琶」・桃山時代の美濃の焼き物で、織部によく描かれているのですが、水辺に私のように控えめにさりげなく息づいている「沢瀉(おもだか)」・可憐な「秋草」などを考えています。


 生まれ育った日本をイメージして渾身の一本。私の最後のわがままなのだ。許せ!


2011年12月2日金曜日

早朝から働く人たち

~新幹線の座席が取れない~

 久しぶりに早朝の新幹線で東京方面へ向かうことになりました。7時4分の切符をとっていたのですが、早めの切符に変更しようと考え、朝4時30分に起床。6時20分には名古屋駅に着いて、早速変更手続きに入りました。この40分ほどの間に新幹線は数本あったため、どれかに変えようとして座席の空き状況を眺めていたのですが、ほとんど満席ではありませんか。わずかに空席のある列車を見つけ、機械に切符を差し込んで変更しようと試みたのですが、空いている席は3人掛けの真ん中の席しかありません。足のしびれの持病を抱えている状況で真ん中の席に座る気にはならず、結局は当初の時間の列車で行くことにしました。しかし、こんなに早い時間帯で、数ある列車のほとんどが満席というのは驚くべきことです。あらためて、「日本のサラリーマンたちは大変なんだなぁ」と思った次第です。早朝からごくろうさんなのだ・・・自分もそのうちの一人ですけど。


  空いている時間を利用して早速読書。列車に乗ってからしばらくは日経新聞にじっくり目を通し、社説まで読んでしまいました。監査法人の営業に対してなかなか厳しい意見が出ていましたが、公認会計士や監査法人で働く人たちは公務員ではないし、生活だってかかっているのであるから、程度問題はあると思いますが、ある程度業務拡大を目指すのもやむを得ないと思います。試験合格者を受け入れて育てていくという使命もありますし。公認会計士が活躍する場があるということは、それだけ一般企業に貢献しているわけですし、それが日本経済にとっても望ましことだと思うのですが。社説の記事が世間の一般的な見解を代表しているのかどうかはわかりませんが、そのあたりなかなか理解していただけないのかもしれませんね。






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