~原発収束は誰かがこの目で確認したのだろうか~
日経新聞一面下段の評論「春秋」は欠かさず読んでいるのですが、12月8日のテーマは「大本営発表」でした。今年は真珠湾攻撃からちょうど70年です。
今年3月に起こった原発事故。テレビの映像を見ていても、相当危ない状況になっているのではないかと素人目にも判断されたのですが、東電や政府の発表やテレビの解説を聞いても、すぐには大変なことにはならないといった感じの報道でした。大丈夫と言っておきながら、実は大変なことになっていたなどということはよくある話です。本当に大丈夫だろうかと心配して毎日報道には気を付けていたのですが、事故から半年以上経過して、なんとなく静かになりかけてきたころに発表されたのが、実は地震発生当初のかなり早い段階から原子炉はメルトダウン状態だったというではありませんか。大勢の国民はやっぱりなと思ったことでしょう。本当にわからなかったのか、あるいは国民を心配させまいとして隠していたのであろうか。そのあたりはどうだったのでしょう。
福島第一原発の現場にいた吉田所長のインタビューもかなり衝撃的でした。今だからこそ落ち着いて新聞記事を読んでいられましたが、何度も「もうこれで死ぬかなと思った」という発言は、極限状態を経験した人にしか出てこない言葉だと思います。吉田所長の判断と決断力と行動がなかったら、日本はもしかして今頃はしばらく立ち直れないような状況になっていたかもしれないのですから。
そして今度は、原発の冷温停止宣言です。誰かが自分の目で原子炉内を確認しに行ったのだろうか。それとも単なる推測なのでしょか。もう安全だと信じていいものかどうかわかりません。新聞各紙は一面でこの政府の発表を取り上げていましたが、まだ多くの国民が疑いの目で聞いているのではないでしょうか。
都合の悪いことを隠す体質は最近あちこちで目にしますが、特に報道する側にとっては真実を伝えることは大事だと思います。なんかおかしいなと思うような都合のいい発表には、常に疑いの目を持って臨んだほうがよさそうです。