「正倉院の琵琶」は、約1300年前に製作されたものです。当時の工具・技術で制作されたものが、今でも現存するということ自体、奇跡的なことだと思います。
その、「正倉院の琵琶」に描かれている絵柄を、現代のギターに蘇らせようという、私の壮大なる思いは、言うのは簡単ですが、制作する方は、大変な覚悟と「志の高さ」そして、気の遠くなるようなご苦労があったことだと思います。インレイが完成した後にいただいた、「加藤穂高さん」からのメールに、このインレイにかけた彼の遥かなる想い(おそらく言葉では表せないような想い)が私にずっしりと伝わってきました。
「正倉院の琵琶」は、インレイ加工が施されている素材の部分は、堅くて安定した「ローズウッド」です。ところが、今回私がお願いしたのは、きわめて柔らかい部類の木材である「スプルース」で、しかもギターのトップボードですので、非常に薄いです。そこを掘って、貝を埋めていきます。
「加藤穂高さん」からいただいた、「制作途中の琵琶の模様のインレイ画像」です。貝を埋めて、磨き上げただけの状態の画像だそうです。この段階では、まだ細かな線の彫刻は入っていません。
そして、私がネックの太さの調整のために、「ヤイリギター」さんへ行った際に撮影した画像です。まだ塗装前ですが、中に細かな線の彫刻が入っています。拡大します。