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2015年10月26日月曜日

品質管理レビュー

~東芝の場合~


 最近テレビはもうほとんど見なくなりました。「人生の楽園」「なんでも鑑定団」もNHKの朝夕7時のニュースさえ、たまに見るくらいです。したがって、世の中の情報源は、新聞とネットの記事くらいしかありません


 ネットで見た記事ですが、東芝には公認会計士協会と公認会計士・監査審査会の「品質管理レビュー」が入っていたそうですね。


 自分で確認したわけではないので事実かどうかはわかりませんが、そう書いてありました。通常これだけの会社であれば、当然品質管理レビューが入るでしょう。私も同じ会社が2回もレビュー対象になったことがありましたので。


 監査法人に「公認会計士協会の品質管理レビュー」が入るようになったのは、今から20年くらい前でしょうか。大手監査法人には2~3年に一度くらいの間隔で回ってきていましたが、対象になるときには緊張感が走ります。


 私は監査法人に在職中に、5回ほど当たりましたが、ずれも無事にクリアしました。いやはやその時のプレッシャーは、なかなか大変なものです。なにかあったら、法人に迷惑をかけてしまいますからね。


 中でも印象にに残っているのは、平成17年3月期の某自動車関係の会社の品質管理レビューでした。


 この会社は、たまたま中小監査法人が解散することになって、後任の監査人を探していた際に、私が所属していた監査法人が受嘱することになったのでした。


 当時私は名古屋事務所長で超多忙でしたが、比較的大きい会社でしたので、優秀な人材を投入し、私も関与することにしたのです。


 監査法人の本部からは、


 「新規受嘱会社は、公認会計士協会の品質管理レビューの対象になる可能性がかなり高いので、しっかり監査してください」


 とアドバイスを受けましたが、当然私もそのつもりでした。なにしろ初めての会社ですからね。詳細に監査を実施していきました。


 通常は、公認会計士が監査業務を行うさいには、いわゆる「相当な注意」を払って監査を行うのですが、この会社に関しては、常に公認会計士協会の品質管理レビューが頭にありましたので、「相当な注意」どころか、それこそ「細心の注意」を払って監査を行ったのでした。


 もちろん、監査は「試査」によっておこなうので、すべての取引をチェックするわけではありません。数百件・数千件、あるいは会社によっては数万件・数十万件ある取引記録のうちの、ほんの一部について、抜き取り調査を行うのです。この辺が、世間でいうところの監査に対する「期待ギャップ」というやつですが。


 これはともかく、その会社の監査は、最善を尽くして行われたのでした。


 そしていよい平成17年度の公認会計士協会の品質管理レビューの実施時期です。我が法人が対象になっていたので緊張感が走ります。名古屋事務所は・・・。予想していた通り、新規受嘱会社が、レビュー対象会社の一つになりました。


 でも大丈夫。これだけ必死に監査を行ったのだから、監査業務的に問題があろうあうはずはありません。自信満々でした。


 実際まる一週間、公認会計士協会の厳しい品質管理レビューを受けましたが、全く指摘事項はありませんでした。まぁこれだけしっかり監査をやったのだから、或る面当然といえば当然ですが、でもレビューを受けるというのは、精神的に嫌でしたね。監査を受ける立場の方々の心境が、よくわかりました。


 東芝の監査に、公認会計士協会の調査が入ったとのことですが、どのような結論になるのか、いつ結論が出るのか、大変興味があります。


 これに関連するテーマは、「越麻呂日記」でもしばらく取り上げていきましょう。