~顧問先の維持~
事務所を開業した場合、はじめは少しでも多くの顧客を確保する努力を行いますが、いったん軌道に乗りはじめてからは、その後は安定経営に努めなければなりません。
税務の場合は、顧客にとって望ましいサービスを提供するということがはっきりわかるため、報酬を支払うことについて、支払う側にも納得感があるとおもいます。ところが監査の場合は、必ずしも会社が望む結論になるとは限らないため、監査を受ける側が報酬を支払うという図式に、多少の緊張感があります。最近では監査を受ける側が監査法人を変更するといったケースも珍しくないようです。
だからといって、監査が甘くなってしまってはいけません。その板挟みで苦労している監査人もいることでしょう。
私が監査法人の名古屋事務所長をやっていたころは、事務所の経営もそうですが、職員の生活を維持していかなければならないという責任が重くのしかかってくるため、事務所のメインクライアントの維持には細心の注意を払いました。もちろん監査が甘くなることはないのですが、メインクライアントを維持しなければならないというプレッシャーは、相当なものでした。
クライアントとの関係は良好でも、企業再編で顧客が来ることもあれば、逆にロスとすることもあります。先日新聞やテレビで、ファミリーマートがユニーHDを吸収合併することで合意したという報道がなされていました。両社の監査法人は異なるようですね。
共同監査であれば今まで通りでいいのでしょうが、最近上場会社で共同監査はほとんどありません。私もユニーグループを数年監査していただけに、気になるところではあります。
それはそうと我が事務所、確定申告が一段落した先日、私が間借りしている事務所の所長から、「どうせ暇だろうから、顧問先を一件譲ってやる」といわれました。
私としては、一件どころか二件でも三件でも、あるいはいっそのこと事務所まるごと譲っていただいてもかまわないのですが、まぁ自力で開拓していくことにしましょう。
我が事務所、まだまだ安定経営というわけにはいかないようです。