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2013年11月22日金曜日

熱湯消毒

~近道などないのである~


 現代作家のものですが、以前購入したぐい飲みを早く育てようと、邪道であるとはわかっていながら、お酒を入れたままにしておいたのです。

 毎日お酒を取り換えるのももったいないので、一週間ほどほったらかしにしていたのですが、気が付いたらぐい飲みの中にはすでにカビが浮いていました。しまったと後悔して、石鹸で念入りに洗ったものの、カビが浮いている光景を見てしまったので、どうしても使う気になりません。しばらくは飾っていました。

ところがこのぐい飲み、大きさといい形といい景色といい、なかなかのぐい飲みなので、どうしても使いたくなってしまいました。そこで、カビを根底から撃墜してしまおうと考え、沸騰させたままの熱湯にしばらくつけていたのですね。いわゆる熱湯消毒です。

しばらく熱湯で煮沸した後、取り出して乾燥させればよかったものを、念には念をと一晩そのままお湯につけておいたのが悪かったのでしょう。翌日取り出してみてびっくり。きれいだった表面の釉薬がザラザラになり、土の色はやや変色して、大変なことになってしまっていたのです。

焼き物は千度以上の火力で長時間焼くので、100度くらいの熱湯などどうってことないものと思っていたのですが、見た目がこんなに変わってしまうとは考えもしませんでした。

気に入っていただけに大変残念なことをしてしまったのですが、現代的な美しさから逆に骨董的風合いに変わったとも言えなくもありません。こんな感じです。

 

先を急いで近道をしようと考えると、ろくなことにならないようです。