~すべてが水の泡か…~
この地域ではイチジクは甘露煮専用で、生のイチジクを食べるという習慣はありません。甘露煮用のイチジクは小さくて硬く、生では食べられません。
たまに生イチジクが売っていることがあるので食べてみたのですが、まぁ売りに出せるものとは思えませんでした。
私はイチジクの季節になると、名古屋の覚王山の神社内の朝市で売っているイチジクを、毎日3~5個は食べていたのです。秋田で売っていないのなら自分で作るしかありません。移住早々イチジクの苗木を植えました。
1年目に植えたイチジクの苗木は17本。カミキリムシのことを聞いていたので注意深く観察していたのですが、翌年の春、すべての苗木がなんと頂上から下に向かってカミキリムシに侵入されているのに気が付きびっくり。
「いきなり全滅か!」
と思いましたが、イチジクの苗木は植えた後高さ80㎝くらいの長さに切るそうで、それをやっていなかった私ですが、逆にカミキリムシに浸食されていた部分を切り落とすことになり、ちょうどいい背丈になりました。
2年目。カミキリムシ対策に神経質になりすぎ、ネットに記載されていたのを参考にグリプロ(グリーンプロテクトの略?)というコーティング剤をイチジクの主幹にたっぷり塗りました。
これで対策は万全と考えたのですが、翌年の春、よくよく考えると「これではイチジクが呼吸できないではないか」と気が付き、指の爪でコーティングを一本一本はがしていきました。
イチジクの主幹は呼吸ができず腐りかかっていたし、私の指も血だらけになりましたが、イチジクは何とか生きていました。
「すまん。俺が悪かった!」
そして昨年の春、なかなか芽吹かないのでどうしたものかと思っていたら、どうやら冬そして春先の低温にやられていたようで、大部分の木を根元付近から切らざるをえませんでした。
「大手術」でした。
それでもイチジクの生命力はたくましく、どんどんわきから枝を伸ばしてきます。
数種類のイチジクを植えてみたのですが、生食ではエルサレムイチジク(別名バナーネ)が一番おいしいと気が付き、一昨年20本、昨年40本植えました。
今までの経験からカミキリムシ対策に注意を払い、昨年購入したバナーネ40本には「こも」をまいて寒さ対策を施し、堆肥をたっぷり投入してやれることはやりつくしました。もうこれ以上はできません。
そして今年。
一昨日、今年もサルナシやブラックベリーなどを植えようと思い、JAからカタログを入手して眺めていたのですが、ひっくり返りましたぜ。
なんと、エルサレムイチジク(バナーネ)に、「耐寒弱」と記載されています。
毎年カタログを入手していますが、このような記載はありませんでした。
ここは秋田なので、私がいくら素人でも「耐寒性弱」と知っていたら、その果樹の苗を購入するはずはありません。
なんでいままで教えてくれなかったの?バナーネだけ今年から???
専門家なら
「これ耐寒性弱だすけど、秋田の人がこんたにいっぺ買っていいったぎゃ?(バナーネは耐寒性が弱ですけど、こんなにたくさん買って本当にいいんですね?)」
とでもアドバイスしてほしかったなぁ…まぁ自己責任ですけどね。
おそらく最近注目されているバナーネの苗木を購入した人がたくさんいて、植えてみたけれど駄目だったのでクレームをつけた人が何人もいたのだと容易に想像できます。
これはもう、努力・忍耐・根性・志で何とかなる話ではありません。「秋田でミカンを育てようとしている」のと一緒です。
今までの努力が、水の泡になるのだろうか…。
おっと…仕事!仕事!