~それは私たちです~
作家の五木寛之さんや嵐山光三郎さんではありませんが、「人生50歳を過ぎたらゆっくり下り坂を降りる」のが理想の生き方です。監査法人で仕事をしていた時のように、何かに追われるようにあくせく働くのはもうやめにしましょう。
そしてやりたいことだけをやり、後はお気に入りの酒器で好きな酒でも飲んで、たまには温泉にでもつかり、ギターを弾いたり本読んだりしてのんびり過ごすのです。そして、できれば人知れずひっそりと暮らしたいものだと考えているのです。
ところが、この地に来てからの私たちの行動は、どう考えても目立ってしまいます。「あの人たち、いったいここで何をしようとしているのか」と、町の皆さん興味津々のようです。しかも名古屋と違って人間関係が非常に「濃厚」で、噂があっという間に駆け巡ります。巡り巡って私のところまで循環してくる噂は、事実と異なる噂ばかりでした。最初は戸惑いました。今はもう慣れましたけど・・・。
先日も、全くの初対面の近所に住んでいるおばあさんに挨拶をしたのですが、
「ああ、あそこに家を建てている人だね」
という答えが返ってきます。うわっ、すごい。これでは、へたに悪いことはできないですぅ。
噂はこのブログにかけない内容のものばかりなのですが、一つだけ面白い噂を聞きました。「私たちが、シルバー人材センターの人たちを雇って、開墾作業をやっている」というものでした。
「朝早くから夕方まで、刈払い機で草刈りをやっているけど、草刈りの専門家みたいだよ、女性なのにプロみたいだね」
「なんだかかわいそうに、男の人と女の人が、一生懸命腰をかがめたまま、葦の引き抜き作業なんかさせられて・・・」
かと思えば、今度は
「一輪車で堆肥運びを延々と・・・あれでは体壊すわなぁ」
といったところでしょうか。
そんな噂が巡り巡って私たちのところにきます。私たちは近所の人に聞かれます。
「シルバー人材センターの人たちを雇ったんですか?」
「はぁ??」
最初は何を言っているのかよくわかりませんでしたが、しばらく話しているうちに事情を呑み込むことができました。
「あの・・・シルバーセンターの人たちって・・・それ、私たちなんですけど・・・」
せっかくの面白い作業を、人にやってもらうなんてとんでもない。まして、高齢の方たちに重労働させて自分たちがぬくぬくしているなんてありえない。「自分たちが自ら開墾することに、楽しみがある」のですよ。