~82歳の助っ人~
昨年の7月、不動産会社の社長に連れられてこの地を訪れた時に、最初に紹介してもらったご近所の方が、Mさん夫妻でした。15年ほど前に、県庁所在地から、あえてこの地に引っ越ししてきたそうです。この地に愛着を感じているようでした。
Mさんは、300坪くらいの敷地に自宅を建て、庭を作ってもみじの木などを植え、また畑を耕して悠然と暮らしています。居間の大きな窓から見た、たくさんの木々が風にそよぎ緑にあふれていた風景がとても印象に残っています。
「この地域は地盤が固いので地震が来てもあまり気にならないし、山に囲まれているので風も強くはない。四季折々の風景が見事だ。」とおっしゃっていました。Mさんによると、昭和30年代には、この地で牛が放し飼いにされていたそうです。なるほど、それで土が赤土っぽくないのですね。
Mさんの自宅の裏側には、小屋があります。以前はここでHさんが鶏を飼っていたのですが、イタチにやられることがあったため、現在は別の場所で鶏を飼育中とのことです。今では小屋は使われることなく、戸などが一部壊れたままとなっていました。
今回私たちが購入した敷地にはこの小屋もふくまれているので、せっかくなので使うことにします。ちょっと修繕すれば十分使用に耐えます。
朝早くエスペランサ村を訪れると、Mさんご夫婦がすでに畑にいます。そうか、この地域では今は畑を耕す時期なのですね。奥様も熱心に鍬をおろしています。もうかなりのベテランのようです。我々は素人ですので、あとでいろいろ教えていただくのだ。
さて、私たちが「暗渠」用の溝に剪定枝や伐採木を投げ込む作業に夢中になっていたら、なにやら小屋のそばでMさんも作業をしています。
「何をしていらっしゃるのですか」とのぞいてみると、Mさんは、小屋の内外の不要な板や材木等を細かく切って紐で結んでいます。私たちがいつでも小屋を使えるように、散乱した材木等をきれいに片づけてくれているではありませんか。(小屋のそばのピンクの服の男性)
Mさんは、Hさんとはかなり親しくされているようで、Hさんより一つ年上だと言っていました。そうすると、今年82歳です。皆さん、頼りない私たちを心配しているのか、応援してくれているようです。涙が出るほどありがたいです。
素人の私たちは、これだけの広い土地ですので、二人だけでは何もできません。でも、こうやって汗水流して一生懸命頑張っていると、みんな助けてくれるんだなぁと、しみじみとした気持ちになります。
帰り際、車を出そうとしたところ、エスペランサ村の隣にある大規模な畑の前にケートラが一台止まり、おじいさんが降りてきました。前から気になっていた畑です。
私はさっそく声をかけます。
「もしかして、この畑を耕している方ですか」そうすると、そのおじいさんは、
「ここの畑の持ち主が86歳を過ぎて畑に来られなくなったので、頼まれて、借りて耕しているのだ」と言います。
これだけの見事は畑は、やはりプロの仕事に違いありません。借りている方は「自分もかなり高齢だからもうやめようと思ったのだが、もう一年がんばる」と言っていました。
「一年といわず、ずっとやってください。これからお隣で畑仕事をするので、教えてください。くださいったらくださいな」と私。
強引にお願いして、その場を後にしたのでした。
「チームエスペランサ」の和(輪)を広げていくのだ。