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2014年4月16日水曜日

おそるおそる京都の骨董街、新門前町へ

~そうだ、京都へ行こう~

 数年前の、まだ骨董がよくわかっていなかった頃の話です。

 なじみの骨董店でいろいろ教えていただきながら、数多くのものを見せていただいたり、ひっくり返したりのぞいたりしていると、ある程度は真贋がわかるようになってきます。そうすると当然もっと広い世界で見識を広めてみたいと思うようになりますね。これはなにも骨董の世界に限ったことではありません。向上心の強い人であれば、誰だってどの分野においてだって、そういうものなのです。ほかにもっといいものがあるのではないか、自分の知らない名品が、あるところにはあるはずである、自分の目がどこまで通用するのか試してみようという気持ちになって当然です。いわゆる「他流試合」というやつですね。そこで思い出したのは、JR西日本のキャッチフレーズ「そうだ、京都へ行こう」です。早速行ってみます。

 
京都の骨董街といえば、新門前町です。新門前町は、以前骨董には興味がなかった私が、骨董好きな連れ合いに誘われて、一度だけ行ったことがありました。でも、そこで購入したのは、いろいろ迷った挙句、結局は皿の2枚くらいだったでしょうか。印象に残っているのは、あるお店の店先に展示されていた白磁の徳利にすごく惹かれたのと、お店のおばさんに「白磁というのもなかなかいいものですよ」と言われたことです。その時は自分に自信がなくて素通りしてしまったのですが、その良さがわかってきた今となっては、なんで買っておかなかったのかと、大いに後悔しています。
 

新門前町にある骨董屋さんの中で、一軒だけ気になるお店がありました。ネットでいつも見ていたため、一度実際に行ってみようと思っていたのです。お店は思ったより小さかったのですが、中は雑然としていて、あちこちに物が所狭しと置かれています。その中から、三島の暦手の鉢が最初に目に飛び込んできました。そして棚の上には同じく三島の徳利が置いてあり、さらにその隣には高麗青磁の雲鶴紋の鉢が置いてあります。その三点に特に集中しながら、店の中をあちこち眺めていました。
 

一番ほしかったのは、暦手の鉢だったのですが、頭の中で上限金額を設定して、恐る恐る値段を聞いてみます。思ったより安い値段だったので、連れ合いと思わず顔を見合わせたのですが、同じようなことを考えていたらしく、うなずいてくれたので購入することにしました。その店主はどうやら外国人相手が中心らしく、大物の取引相手をお持ちのようでした。いかにも初心者っぽい私たちを相手に、本物と偽物の見分け方、傷の直しの見つけ方等をいろいろ教えてくれます。特に首の直しなどは、最近ではものすごく精巧にできるらしく、肉眼ではなかなか見分けがつかないのだそうです。簡単な見分け方を教えていただきましたが、お店の中ではあまりやりたくないです。
 

三島の徳利も青磁の鉢もほしくて値段を聞いたのですが、持ち合わせもあまりなかったし、旅先では気持ちが高ぶっているに違いないため、間違いを犯しやすいというリスクが頭をよぎりました。ほかのお店を一回りしながら考えようと思って、その店を後にしたのですが、二度目に通りかかった時には結局通り過ぎることになったのでした。
 

一日がかりで新門前町の骨董店を、足を棒にしながら歩き回ったのですが、やはりいいものはお店の奥の方にしまいこんであるのでしょうか、今回もそれ以上の成果物はあがりませんでした。京都駅の構内で「玉の光」と「桃の滴」の大吟醸を購入し、我が家へ向かってすごすごと新幹線に乗り込んだのでした。
 

もっと勉強してから再挑戦なのだ。