カテゴリリンク

2014年4月7日月曜日

六角黄瀬戸はなぜ六角なのか

~六角を思いついた発想を考える~

 酒器の世界では、黄瀬戸といえば六角が有名です。「まだら」と同様、「六角」と聞いただけで頭が反応し、心臓はドキドキ脈打ち、吐く息ははぁはぁと荒くなってしまうほどです。「タンパン」「あぶらげ」「こげ」が六角黄瀬戸のぐい飲みの特徴とされており、この特徴がよく現れたものほど価値が高いとされているようです。
 

六角黄瀬戸には「椿手」といって、こげ茶色をした六角もあり、こちらも数が少なく、なかなか入手するのが難しいとされています。志野といい黄瀬戸といい織部といい、美濃地方の焼き物はやさしくていいですね。
 

それにしても、ぐい飲みはふつう丸い方が飲みやすいに決まっているのに、なぜわざわざ六角形にしたのでしょうか。コップだってまるいし、お椀だってワイングラスだって口をつけて飲むものは、通常まるいと相場が決まっているのです。当然黄瀬戸の茶碗だってまるいし、そもそも六角茶碗など私は見たことはないです。
 

 六角黄瀬戸を作った陶工というかプロデューサーは、どんな思いで六角にしようと考えたのでしょうか。作者が素直でなかったとか、新し物好きだったのかも知れません。それとも「6」という数字にこだわりがあったか、あるいは単に「6」という数字が好きだったのでしょうか。そういえば、落合博満の現役時代の背番号も「6」でした。
 

三角形や五角形など奇数では持った時に不安定だし、四角形だと枡酒になってしまいます。八角だと角が多すぎて飲みにくいし、六角あたりがちょうどプロデューサーのイメージにかなったのでしょうね。といってもやはりもともとは向付に使われていたものが、転職してぐい飲みとして使われるようになったのが本当のところだと思います。それでもいろいろ考えさせられるのが、なかなか面白いところです。