プレゼンのあった日は、さすがに私も慣れない話で疲れたため、そこの家に一晩泊めていただくことにしました。地元のおいしい食材で一杯やります。家のご主人は釣り名人で、このあたりの海釣りや渓流釣りの話をいろいろ聞かせてくれました。
海釣りではクロダイが釣れるそうです。大物です。キスは多い時で一日300匹。すべて自分でさばいてご近所に配るそうです。また、渓流釣りに関しては、アナゴやイワナがたくさん釣れると言っていました。ただ、一度クマに出くわしたことがあったそうで、竿を抱えたまま固まってしまい、怖くて身動きできなかったと語っていました。私はクマと蛭は嫌いです。
さて翌日、その家に女性のお客様が二人訪れてきます。そのうちの一人は、この町の役場でもかなり上位の役職の方だったようで、とても知的で上品な方でした。私がこの町で「エスペランサ村」を開村することはもうすでにご存知で、「町長にもお伝えしてある」のだそうです。うわっ!!もう後には引けないではないですか。
その女性は、我がエスペランサ村の近所に住んでいて、散歩の時はよく通りかかると言っていました。
「あの辺はとてもいいところですよ」
「困ったことがあったら言ってくださいね、相談にのりますから」
「私にもいろいろお手伝いさせてくださいね、応援します」
おお!こちらがうれしくなってしまうことをたくさん言ってくれるではないですか。前日あった1万光年の距離が、一気に縮まります。お~し!わしだってやる時はやるけんね。
さて気分を変えて、再びエスペランサ村を訪れます。車で5分です。到着してびっくり。ランクルが一台止まっているではありませんか。エスペランサ村の以前の所有者で、このあたり一帯を開拓した方の車です。早速、前日話に出た土のことを聞いてみることにしました。
その方の話によると、このあたりの土地はもともと畑に適した黒土で、大規模開発用に赤土で整地をしたけれども、いったん上の黒土を寄せておいて、整地後にその黒土を上からかぶせたそうです。確かに周りには立派な畑があるし、梅の木20本もその方が植えたそうで、立派に育っています。やり方はあるはずです。
その方は土には詳しいようで、
「畑をやるならいろいろ教えてあげるよ」
「黒土もたくさんあるので、必要なら持って行ってもいいよ」
ということでした。なんといううれしい話でしょう。目の前に明かりがさしこんできたような気分でした。
「畑をやるならいろいろ教えてあげるよ」
「黒土もたくさんあるので、必要なら持って行ってもいいよ」
ということでした。なんといううれしい話でしょう。目の前に明かりがさしこんできたような気分でした。
もう何年前になりますか、私が某監査法人の名古屋事務所長をしていた時に、別の某監査法人の名古屋事務所と統合することになったのですが、その際、目の前にあるあまりにも膨大な量の課題と業務量に、呆然と立ち尽くしてしまったことがありました。でも、考えている時間が惜しかったため、私が自ら、何の当てもないまま、暗闇の中に全力で突っ走っていったのです。
走っている間に小さな明かりが見え、さらに走っていくと、その明かりがだんだん大きくなっていきました。
今なんとなく、その時のことを思い出しました。