~偶然発見したエッセイ~
「小さな蕾」という雑誌の過去30年分360冊をまとめて古本屋さんから購入したため、今順番に読んでいるのですが、1993年7月発行の「300号記念号」に、私が以前「高麗茶碗の話」で書いたT先生のエッセイが掲載されていました。「私のこの一点」という特集で各方面のコレクターがエッセイを投稿しているのですが、その中にT先生が書いた「悔しさを慰めてくれる逸品」というタイトルのエッセイが掲載されていたのです。布団の中で寝転がって雑誌を読んでいたのですが、思わず飛び起きてしまいました。
東海地区の公認会計士であるT先生は、初めてお会いした当時は私にとってはなかなか近づきがたい存在でしたが、協会活動をきっかけにいろいろお話しする機会に恵まれました。当時私はまだ骨董には全く興味がなかったのですが、ある日中日新聞に大きなスペースでT先生の特集記事が掲載されていたのを偶然発見したのです。特集の内容は、茶碗を中心としたT先生の骨董コレクションでした。噂ではいろいろお聞きしていたのですが、公認会計士の中にもこのような趣味をお持ちの方がいらっしゃるということの尊敬の念と、新聞で特集されてしまうほどのすごいお方だったのだという驚きで、うれしい気持ちになったのを覚えています。
私が骨董を始めてから1年ほどたった頃、偶然ある会合でT先生と一緒になりました。何しろ私の周りで骨董の話ができる人は、私の連れ合い以外にはいません。素人同然の私は恥を忍んで、T先生に対して、自分が骨董収集を始めたということを告白してしまったのです。今考えるとこのころの私は、本物と贋物の間を行ったり来たりしている状態だったのですが、T先生は「骨董はきちんとした信頼のできるお店で購入した方がいい」ということで、先生がお付き合いしているお店をご紹介してくださったのでした。おかげさまで今では道を踏み外すことなく、ささやかではありますがこの趣味を継続することができています。
こういう偶然があるので、人生は面白いのです。
T先生に感謝!
【ブログランキング参加中!】 | |