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2012年1月25日水曜日

「かみその」でお会いしましたね

~見られていた~




 最近はあまり居酒屋というところに行かなくなりました。なんだか騒々しすぎて、飲み友達と行ってもなかなか話が聞こえないのですね。大声で話をしていると疲れてしまいますし、飲んでから家へ帰るのが面倒になってきたこともあります。おじさんたちがゆっくり飲める場所はだんだん少なくなり、行き場のなくなった我々は繁華街から遠ざかってしまいます。


 そんな中で見つけたのが、あまり目立たないところにひっそりとお店を構えている「かみその」という小料理屋さんです。7月に知り合いに紹介していただきました。カウンターが9席、7名入る個室が一部屋とこじんまりしたお店ですが、おいしい料理といい、お酒といい大変気に入ってしまいました。


 初めは私の第2の隠れ家にしようかと考えていたのですが、仕事場所が近いため、仲間を誘って頻繁にお店へ通い詰めるようになってしまったのです。少ない人数の場合はカウンターで静かに話をしながら料理を楽しむことができますし、個室は「密談」をするにはもってこいの場所です。


 ある日仕事から帰って着替えをしていたところ、連れ合いに言われてしまいました。同じマンション(といっても8戸しかないのですが)に住んでいる人から「お宅の旦那さんが、かみそのというお店に若い人たちを引き連れて、奥の個室に入っていきましたよ」と言われたと。このころ頻繁に出入りしていたため、その時の若い人たちがどのグループの仲間だったのかはわかりませんでしたが、世の中狭いなぁと実感させられました。


 しばらくして、休日に古美術店で時間をつぶしていると、おじいさんが一人ぽつんと椅子に腰かけていました。たまにお見かけするため会えばご挨拶はするのですが、どうも体調があまり思わしくないらしく、今までほとんど会話らしき会話を交わすことはありませんでした。その日も熱心に雑誌を読んでいましたので、私もなんとなくお店の中の展示物を眺めていたのですが、突然そのおじいさんに「かみそのでお会いしましたね」と声をかけられたのです。


 一瞬驚いてしまったのですが、かみそので一緒に食事をしたことはないはずですし、お店でお会いしたという記憶もありません。たぶん私が若い人たちと一緒に個室へ消えていく姿を、カウンターから眺めていたのでしょう。かみそのをきっかけに、そのおじいさんとはいろいろお話しすることができました。


 最近私もいろんなところに出没するため、プライベートな交友範囲が広がってきているのですが、偶然とはいえ、かみそのを通じて、またまた世界が広がりそうな気配です。