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2012年1月16日月曜日

ジョブズの本はなぜよく売れたのか

~カリスマ経営者の不在~



 アメリカアマゾンによると、10月に発売されたスティーブ・ジョブズの自伝が、期間が短いにもかかわらず昨年の全米ベストセラー本になる可能性があるのだそうです。日本においても各書店の売れ行き上位ランキングでは、どこの書店でもジョブズの自伝がしばらく一位を独占していました。私も発売と同時に購入して読んだ一人ですが、読まずにはいられないという思いに駆られて購入してしまいました。


 なぜなのか?それはやはり最近人をひきつけるような魅力のある経営者が少なくなってきたからだと思います。かつては松下電器(現在のパナソニック)を立ち上げた松下幸之助さんや、小さな町工場から世界企業に成長させたソニー盛田昭夫さん、世界のホンダ本田宗一郎さんなど、既成概念にとらわれない発想を持ったカリスマ経営者が何人かいました。そしてそういった企業で働くことを誇りに思っていた従業員もたくさんいたことと思います。


 最近はどうでしょう。よく「日本は経済一流政治は・・・」といわれましたが、最近は経済のほうも勢いがなくなってきました。この経営者に注目したい、「革新」という言葉が想像されるような経営者があまり見当たらなくなってきたような気がします。どういう経営理念を持って企業経営を行っているのかが伝わってこないと、そこで働く従業員のモチベーションも高まってこないでしょうね。こういう経営者の下で働いてみたいという思いをスティーブ・ジョブズにだぶらせていた人が多かったのだと思います。


 我が人生を振り返ってみても、短い期間ではありましたが、この人の下で仕事ができてよかったと思えた人が二人いました。もう25年~30年も前の話です。年齢的に離れていたこともありますが、黙ってみているだけでスケールの大きさを感じた人でした。そういった人に若いころに巡り合えたことは、今から考えると非常に運がよかったのだと思います。


 ジョブズの言葉に「今日一日しか生きられないとしたら、今やっていることをやるか」という問いかけがありました。非常に重い言葉です。自分のことを考えると、40代の後半から50代の初めにかけては、かなりの頻度でそういった日々が続いていたような気がします。
はたして最近の自分の生活はどうなのだろうか。