~日本語が植民地化される「脅威」を認識して評価して除去しよう~
「お~い!そこのコンダラ、こっちへ持ってこい」
野球場での練習風景です。どうやら、先輩が後輩に命じているらしいのですが、言われた後輩のそばには、グラウンドを固めるためのローラーがそばにあるだけです。コンダラ???「あの~、コンダラって何っすか?」と、後輩。「だから、お前のそばに置いてあるコンダラだよ」
最近、地下鉄での通勤時に「梶原一騎伝 夕焼けを見ていた男」を読んでいるのですが、 子供のとき、ちょうどカラーテレビが出始めた頃に、スポ根漫画「巨人の星」が放映されていたのを思い出します。
「♪思い込んだら 試練の道を♪」
という歌詞がうたわれている画面の中で、主人公の星飛雄馬が、いかにも重そうなローラーを、汗をかきながら苦しい表情で引いている場面が映し出されるのですが、その姿を眼の中に焼き付けられている方も多いと思います。その先輩は、その歌を聴きながら「思い込んだら」を「重いコンダラ」と取り違えてしまったのですね。
私などは、エイトマンの歌詞の中にある
「♪行こう 無限の 地平線♪」
と歌っているところの歌詞の意味がわからず、「ユコームゲン」っていったい何の意味だろうと、かなり後年になるまでわからないままでした。昔は、今みたいにやたらとテレビの下に、日本語の字幕が出ることはなかったのです。
「♪夕焼けこやけの赤とんぼ おわれてみたのは いつの日か♪」
「おわれて」も、狼かクマにでも追われたのだろうかと、しばらくわからなかったのですが、おそらく「背負われて」「おんぶされて」の「おわれて」ですよね・・・たぶん・・・自信ないけど。
私の友人の中には「順風満帆」をいまだに「じゅんぷうまんぷう」と言っている方もいます。バブルをバルブと言っている方も・・・。
IFRSの勉強をしていると、収益の認識のところで必ず出てくるのがいわゆるひとつの「経済的便益」というやつです。「経済的」は日常会話でもよく使うので、比較的なじみがあるのですが、「便益」というのは、なかなかなじみのない言葉ですね。ちなみに新明解国語辞典で調べてみると「それを使うことが自分にとって便利であり、かつ利益がある様子」と書いてあります。なるほと、確かにその通り。でも使わないよなぁ、この言葉。経営財務によると、IFRS適用第一号となった会社も、収益の認識基準を、出荷基準から着荷基準へと変えたそうですが、その変更理由にもこの「経済的便益」という用語が出てきます。そのうち「便益」が新聞や雑誌に氾濫するのだろうか。便益便益便益便益・・・
先日JICPAジャーナルのIFRSに関する記事を読んでいたら、金融商品会計に関するところで、とうとう出てきました。「まれでない回数の売却」が売却目的とみなされて・・・。「まれでない回数」とは一体どういう回数なのだろう。頻繁とは違うのだろうか。「頻繁ではないけれども少なくはない」といったニュアンスなのだろうか。ちなみにこちらも新明解国語辞典で調べたのですが、「まれ(めったになくて、珍しい様子)」は載っているのですが、「まれでない」はありませんでした。「まれ+でない(つまり否定・・・英語で書いてもDeny・・・デナイ・・・なんちゃって)」と解釈すればいいのだろうか。う~ん!よくわからん。
この3年間、実務補習所で「職業倫理」を教えてきたのですが、「脅威を認識した場合、評価して除去するか許容可能な水準まで軽減しなければならない」というようなことがレジュメに書かれていたため、いわゆる翻訳して説明しました。はたして聞いている補習生は、すんなり頭に入っただろうか?
私は日本語が好きなので、本や雑誌を読んでいるときに、よくわからない言葉が出てくると、頭の中が整理できずに途中でつかえて、先に進めなくなってしまいます。こんな日本語が世間にあふれ出てきたら、私は発狂するかもしれません。その前に、早く秋田の田舎に引っ込んだほうがいいのだろうかと真剣に考えてしまいます。それとも、慣れて乗り切るしかないのでしょうか。生活もかかっているし。
先週の日曜日、日本酒を飲もうと刺身を何種類かスーパーから買ってきて、部屋の中に飾ってある高麗時代の鉢に盛るつもりで手にしたところ、カミサンに「それ、オキッパだから、しっかり洗ってね」と言われてしまったのですね。この場合の「オキッパ」は、もちろん置きっぱなしのことです。「オキッパ」くらいだったら、苦笑いするだけですませられるのですが。
戦中、日本国民は、今でいうところの「カレーライス」を、「からし入り汁かけめし」と言っていたそうです。野球でも「ストライク」は「いい球」と。日本酒は米ジュース・・・というのはウソですけど。