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2020年1月27日月曜日

粉飾決算

~責任の取り方~

 事業承継のことを書こうと思ったのですが、日経に気になる記事があったので、そちらを先に。


 (最近農業のことを書いていないので、一部の読者の方にとっては硬い話ばかりで申し訳ないのですが、シーズンが来るまでもう少し…こちらが本職なので…。)


 25日の日経新聞に「東芝系架空取引、400億円超」という記事が掲載されていました。読んでみると、循環取引でした。久しぶりにこの言葉を聞きましたなぁ。


 循環取引というと、新聞にもありましたが、2004年のメディア・リンクスや2007年の加ト吉それにアイ・エックス・アイが有名です。


 証票が存在し、入金があり、残高確認書も金額が一致しているとそれで監査人も満足してしまい、それ以上突っ込めません。監査人泣かせというか、監査での発見はなかなか困難です。


 NHKドラマ「監査法人」を製作した際も、第2話か3話か忘れましたが、当時注目されていた循環取引を取り上げました。


 IT企業に循環取引で粉飾をさせ、主人公の健司と茜に発見させようとしたのですが、専門的すぎてその過程は省略した記憶があります。


 循環取引に限りませんが、粉飾決算を行った場合、その要因はいろいろあるにせよ、責任を取るのは当然「経営者」です。


 最近よく聞く第三者委員会に調査させるにせよ、粉飾を行った決算書を法人名で外部に公表したという事実は動かせませんからね。


 では、JAあきたおばこの場合はどうでしょうか。不適切会計が原因で巨額の赤字が発生しています。


  こちらは循環取引と違って、専門家が監査を行えば容易に発見できたと思われます。


 日経によると、全農を通さない直接販売を始めてから、累積赤字は62億8千万に上るそうです。例の12億の未収金問題はまた別です。


 調査報告書によると、これもよくある記述ですが、「内部統制が著しく欠如していた」のだそうです。


 内部統制の構築責任は経営者にあります。


 ずっと以前は、不正が起こると、経営者は


 「それは職員がやったことで、俺は知らなかったので関係ない」


 という責任逃れをするコメントが多くありましたが、今ではそのコメントを発すると、


 「有効な内部統制を構築しなかった自分の責任だ」


 と、自らの責任を認めていることになるのです。


 ですから、最近不祥事があった際の記者会見を見るとわかるように、「知らなかった」とは言いません。ひたすらカメラに向かって頭を下げています。


 あれは顧問弁護士が指導するそうですね。「頭を下げて、はい1…2…3…4…5…」


 手元にある日経によると、累積赤字の補填策の中に「米1俵あたり300~500円を組合員の農家に負担してもらう」というのがあります…。


 農家はそれで納得できるのだろうか?…できるわけありませんね。


 秋田県人はとても辛抱強いし、じっと我慢する性格の人が多いとはいえ、農家の方の大部分はJAを通じて米を販売しているので、まぁ力関係ということでしょうか。


 一方、過去を一掃して改革を行わなければならない肝心のJA本体ですが、理事はいったん責任を取って辞任したと思ったら、大部分が再任されたそうです…。


 上場会社では決してあり得ない「特殊な世界」です。