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2017年1月4日水曜日

公認会計士の存続問題

~今日の日経「春秋」の記事~

 今日はブログを書くのをお休みにしようと思っていたのですが・・・。


 今日の日経新聞の「春秋」には驚きましたね。お正月早々こんなひどい文章を読まされるとは。


 「春秋」によると、「会計士の活動」は、「資本主義の発展に少なからぬ貢献をしてきたといえよう」といいます。そして、・・・以下「 」内は新聞の記事そのものを抜き書き


 「ところが今、この専門的な職業の存続を危ぶむ声があがっている」


 というわけですよ。えっ!なんのことだろう?と読み進みます。なぜかというと、


 「人工知能(AI)に不正会計の事例を学習させることで、すばやく虚偽を見抜けるようになってきたからだ」


 と続くわけですね。そして、あろうことか、

 「技術革新が人の仕事を奪った例」

として、

 「産業革命下の英国で起こったラッダイト運動が知られる。」


 を例に挙げています。そこで「ラッダイト運動」ですか。私も久しぶりに思い出しましたよ。


 「機械に職をとられた織物職人たちが、機械を打ち壊した騒動」


 として引き合いに出しています。


 この書き手は、公認会計士が、『AI監査反対』などと叫んで、集団でPCを打ち壊す騒動を起こしているシーンでも想像しているのでしょうか。ずいぶんひどいですね。


 「AIに取って代われれる恐れが指摘される仕事」


 の代表例に挙げられているわけです。そして、


 「帳簿の点検がAIに置き換わり始めたとき、会計士はどうしたらいいか」


 と問いかけ、ある会計士の話を持ち出し、最後は


 「産業構造の変革期は廃れる仕事がある反面、伸びる仕事も出てくる。AI革命の今、そのただ中に入ったようだ」


 なんて書きながら終わっています。


 この記者は、公認会計士の仕事は、「廃れる仕事」だとでも言いたいのでしょうか。


 これからは、監査人側でAIを利用した監査手法が開発されるにしても、通常の会計の枠内での処理以外にも、現在の企業会計には、減損や税効果等、判断の要素が多くはいります。


 それに「経営者不正」や「意図的な不正」は内部統制の枠外で行われます。


 そう簡単に「すばやく虚偽を見抜ける」とは考えれらません。


 「独立不羈」の公認会計士の仕事が、そう簡単に「廃れる」ようなら、資本市場は混乱するでしょう。


 「春秋」は、日経の1面で、だれもが読むところです。もっと良識のある文章を書いてほしいですね。魁新聞の「北斗星」とは、大違いです。


 今日の日経「春秋」を読んだ全国の公認会計士は、きっと憤りを覚えたことでしょう。


 公認会計士協会が、会員のための組織、あるいは将来の会員のための組織であるならば、日経新聞に抗議すべきだと、私は思います。