土地の購入契約が済んだため、次は村の建物を建築しなければなりません。ログハウスもおしゃれでいいのですが、それはやはり都会に住む人たちの発想です。「エスペランサ村」というからには、やはり村に溶け込んだ建物にする必要があり、農民や村人が生活しやすい建物でなければなりません。したがって、古民家風の建物ということになります。
実際、古民家の移築も考えたのですが、あまりにも古民家を全面的に押し出してしまうと、かえって疲れてしまうのではないかというのが結論です。
仕事で忙しかったころは、源泉掛け流しの温泉で、なおかつ古民家風の宿を探してゆっくりくつろいでいたのですが、なかでも「藤助の湯 ふじや」とか「三水館」の「蔵」という部屋は、たまに2~3日過ごすには、理想的な部屋でした。頭の中にイメージしたのはこの二つの温泉宿と、もうひとつ、「ギャルリ百草」という秘密のお店です。私のお気に入りの私服は、いつもこのお店から購入しているのです。
仕事で忙しかったころは、源泉掛け流しの温泉で、なおかつ古民家風の宿を探してゆっくりくつろいでいたのですが、なかでも「藤助の湯 ふじや」とか「三水館」の「蔵」という部屋は、たまに2~3日過ごすには、理想的な部屋でした。頭の中にイメージしたのはこの二つの温泉宿と、もうひとつ、「ギャルリ百草」という秘密のお店です。私のお気に入りの私服は、いつもこのお店から購入しているのです。
そこで、設計家のNさんの登場となります。「日本の住宅を変えた50人」という本に登場している一人です。古色を全面に出し、太い梁を使った古民家風の建物でありながら、設備に関しては、太陽光発電をはじめ最先端のものを使うのです。
Nさんとは、もうすでに何度かやり取りをしてきましたので、だいぶ基本設計も固まってきました。農民の家ですので、玄関のあたりには広い土間を設けます。また、採ってきた野菜を洗う場所も必要になります。自給自足を目指すため、食料保管庫や大きめの冷凍冷蔵庫も必要です。そして、私の日本酒貯蔵庫も。
そんな中で、私が最後までこだわったのは「土縁」でした。「土縁」というのは聞きなれない言葉ですが、昔の縁側のような感じで部屋の縁にあり、庭に隣接しています。細長い土間仕立ての空間で、外の光を取り入れることができ、大変開放的です。
昨年の秋、Nさんのアトリエで打ち合わせを行った際に、「土縁」というものがあると写真を見せていただいたのですが、すっかり気に入ってしまいました。掃除が大変であるという村人の意見もありましたが、ここはなんとか私のこだわりを押し切ることに成功しました。
基本設計がだいぶ煮詰まってきました。もう一息です。