~「今日は贅沢でしたね」と美穂ちゃんは言った~
和食党ですので、たまに外食する機会があっても、ほとんどなじみのある名前のメニュばかりです。フランス料理やイタリア料理を自ら進んで食べることはありません。フランス料理などしゃらくさいのである。
ところが、今回の「お魚基本技術の会」は、なんと「たいのポワレ」と「スープ・ド・ポワソン」なのだそうです。しゃらくさいなどと言っていられなくなってしまいました。
フランス料理の何が気に入らないかといって、あの長ったらしくてかっこつけたメニューのネーミングです。例えば「特選和牛ロース肉 グリエにし、旬野菜のエテュペと共に」とか、「フランス産バルバリー合鴨のコンフィ レンズ豆の煮込み添え」くらいならまだ我慢しましょう。でも、「ラ ブティック ドゥ ジョエル ロブション
/ タルト ポワール キャラメリゼ」ときたあかつきには、なんだかバカにされているような気がして、もうその店を出てしまいたくなってしまいます。
今回は「ポワレ」と「ポワソン」くらいですし、しかも小さいながらも鯛を一人一匹ずつさばくことができます。ネーミングは我慢しましょう。ちなみに「ポワレ」とはどういう意味かとネットで検索してみたところ、「フライパンで切り身にした肉や魚を焼くことを『ポワレ』という」のだそうです。なんだ、ただそれだけの事ではないですか。
鯛はいつか勝負してみたいと思っていました。海で釣り上げればエスペランサ村で自給できる重要な食材になる可能性があるからです。鯛を3枚におろすことができるようになることが、今回の「お魚基本技術の会」の最重要課題だったのでした。
さて、先生の講義と実演が始まります。鯛をさばく際に問題になるだろうと思っていたのが、うろこをとることでした。鯛のうろこは強敵です。でも、きちんと武器が用意されていました。「うろこ取り器」です。これがあれば何も恐れることはありません。削ったうろこがはじけ飛ばないよう、ビニール袋をかぶせながら処理すれば、きれいにとることができます。第一関門突破です。
先生の講義は続きます。私の前では、美穂ちゃんが真剣に聞いていて、何やらメモを取っています。私も真面目に聞いています。
私のグループのメンバーだったバンダナは、どうやらギブアップしたらしく、かわりにお話し好きの奥様が来ていました。新妻も今日はお休みだったのですが、代わりに退職してから料理教室に8年間も通っているという、70歳くらいのおしゃべり好きの男性が参加していて、大変面白かったです。
そして、出来上がったのがこれ
左側のスープが「スープ・ド・ポワソン」で、右側の皿にあるのが「たいのポワレ バジルスース」です。
「今日は今までで一番贅沢でおいしかったですぅ」
と美穂ちゃん。おじさん(私の事です)は、フランス料理はあまり好きではないけれど、でも自分で作った料理はおいしかったです。
今回の鯛は、刺身にするには小さすぎたようでした。鯛の刺身に挑戦するのは、まだまだ先のことようです。