エスペランサ村では、経済性や効率性あるいは便利さを追求する生活よりも、「安全」「自然」「悠然」を大事にするのです。そして、水はもちろん、食料や燃料に全く不安のない生活を目指します。オーストリアのように、原発に依存するエネルギーには、一円たりともお金を支払いたくないのです。
食料については、野菜はもちろん自給するとして、魚も「エスペランサ村の蛋白源」のところでも述べたように、なるべくなら自給したいと思っているのですが、100%というのは難しいでしょう。それでも、少なくともスーパーから切り身を買ってくるというのは、あまりかっこよくないので、できれば避けたいです。
今の生活では、業務用スーパーを利用しているのですが、業務用だけあって、野菜や肉・魚がものすごく安いため、まとめて購入して区分けし、冷凍保存しています。
ここでいつも悔しい思いをしているのが、実は魚コーナーなのです。とれたてで生きのいい魚が、いつもたくさん置いてあります。種類も豊富です。こいつを自分でさばくことができたら、さぞかし食卓が充実するだろうなと思いながらも、結局はマグロの短冊を購入するだけで、通り過ぎてしまうのです。
こうなったら、自分でさばけるようになるしかありません。そこで、以前にも書いたように、ベターホームの「魚のさばき方教室」に申し込むことにしました。ここで、来たるべき日に備えて、ひそかに修行をするのです。
もともと学生時代から自炊生活をしていたし、結婚後も共働きのため、我が家では「先に帰った方がご飯を作る」という鉄の掟をずっと守り通していました。朝は自分で作るし、お昼の弁当も作ります。したがって、日々の生活の中でも、包丁を使わない日は、むしろ少ないくらいです。一度教えてもらえさえすれば、魚をさばくことくらいそんなに大したことではないでしょう。やってやろうじゃないですか。
若いころ、オフコースのドラマー大間ジローが、演奏中にスティックをくるくる回しているのを見て、なんてかっこいいんだろうと思っていました。私も必殺包丁人として、魚をさばいている最中に、包丁をくるくる回してみたいのですが、これは危ないのでやめておきます。くるくる回すは、ゴルフクラブだけにしておきましょう。