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2013年11月13日水曜日

「Silent Japan」制作記 その4 

~キルテッド・メイプル~

 西暦2000年を迎えた年に、ヤイリギター「ミレニアムモデル」を発表しました。私の記憶によると、発売されたのは確か3台で、いずれも大変魅力的なギターでした。

一台は、今ではワシントン条約で輸出が禁止されている木材で、最も貴重なギター材である「ブラジリアンローズウッド(通称『ハカランダ』)で作られたギターで、さらに指板が象牙で作られたギターもありました。でも、最も私の目を引いたのは、「キルテッド・メイプル」のギターだったのです。

これらのギターは、高島屋名古屋駅前店で見ることができたのですが、私は、「キルテッド・メイプル」の木目の美しさに目を奪われてしまいました。どんな偶然が重なると、このような不思議な木目になるのだろうかと。そして、「いつかキルテッド・メイプルのギターを作りたい」という思いを、強く抱くようになったのです。


 その時から10年(今から3年前)の歳月が流れました。Silent Japanを制作するに当たり、いよいよ「キルテッド・メイプル」を使うことにしました。ギターの音としては、一般的に、板は柾目のほうがいい音が出ると言われています。「キルテッド・メイプル」は、魅力的なほど激しい木目ですので、もしかして音がこもるのではないかという不安もかすかにありましたが、小池健司さんの腕を信じることにしたのです。


 さて、素材選びです。事前に小池さんにお願いして、いい木目の板をいくつか選んでいただきました。
 
 


 ただ、やはり実物を見ないと判断できないということで、早速ヤイリギターに駆けつけます。何種類かの板を見せていただきましたが、小池さんと相談して、一番木目のきれいな板を選びました。これで素材は確保です。
 
さて、インレイの進捗状況に応じて、小池さんもいよいよ本体の制作に取り掛かります。ギターのサイドです。




そしてバック。


 
そして、板の周りを「メキシコアワビ貝」と「黒蝶貝」で囲います。前者は派手ですが、後者は落ち着いて上品です。







この段階では、まだ木目がくっきりしていませんが、これに塗装が加わると、驚くべき変化が生じます。

 
この件は、明日。