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2012年4月16日月曜日

撮影所見学とサイン

~映像の不思議~





 20代のころ、ある映画会社の調布撮影所に何度か行く機会がありました。ちょうど石原裕次郎が喜びの酒「松竹梅」のCMを撮影しているところに出くわしたため、その様子を眺めていました。その後移動しようとしたところ、目の前を渡哲也舘ひろしたちが歩いています。たまたま一緒にいた女性が渡哲也のファンだったということもあり、私がサインをもらってきてあげましょうと色紙を持って近づいて行ったのですね。そうしたら渡哲也は振り返るなり厳しい顔で、顔の前でダメダメと手を振ったのでした。その光景を見ていた峰竜太が私のところにやってきて、すまなさそうに私が代りにサインをしてあげると言って、色紙に「峰竜太」と書いてくれました。この人いい人なんだなとつくづく思ったものです。


 サインで思い出したのですが、今年の中日は昨年までと違ってずいぶんファンサービスに徹底しているようです。サインなどにも快く応じているようなのですね。それはそれで大変結構なことだと思います。これは自分で直接聞いたわけではなくて又聞きなのですが、落合前監督に言わせると、まだプロで全く実績のない例えば昨年のドラフト1位の選手がファンにサインをせがまれると、自分はもう一人前の有名選手なんだと勘違いしてしまい、それは本人のためにはあまりよろしいことではないのだそうです。それはそうですね。わかるような気がします。ひたむきに頑張れよな。


 さて映画の撮影の話です。撮影所にはいろんな小道具があり、時代劇でかぶる「かつら」もその一つです。役者さんがかつらをかぶって刀を差して武士の格好をしているのですが、そのかつらと自頭の境目があまりにもくっきりしていて、かつらをかぶっているのが露骨にわかってしまうのですね。このまま撮影して本当に大丈夫なのだろうかと、こちらが心配になるくらいです。ところが、いざカメラを通してフィルムに焼き付けて映像となったものを見てみると、全くかつらのかぶり際がわかりません。これはいったいどういうことなのか、ずうっと疑問に思っていました。


 NHKの大河ドラマ「平清盛」の撮影をめぐっていろんな意見が出ているようですが、最近では撮影機械の性能がアップしたり、テレビがハイヴィジョン化したりして、細部まで詳細に映像で表現されるようになってしまいました。番組によってはそれはそれでいいのでしょうが、歴史もののドラマにとっては、ちょっとやりにくいでしょうね。