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2012年4月13日金曜日

水と美術品

~世界を駆け巡る美術品~





 瀬戸にある陶磁資料館で中国の焼き物展が開催されていたため、見に行ってきました。龍泉窯の青磁が中心でしたが、完成度が高く妥協を許さないといったところはさすがです。ものがいいだけに中国物は高価で取引されるため、贋物も多いといわれています。でも、近年作られた贋物はともかく、例えば700年ほど前に作られた贋物をはたして贋物といっていいものだろうか。


 それはさておき、今まで中国物にはあまり興味がなかったのですが、今回焼き物展を見たのをきっかけに、早速写真が中心の中国物の焼き物の本を買ってきて、ぱらぱらめくっていました。


 最後のほうのページに解説記事が載っていたため読んでいたのですが、最近中国物が高く売買されているようです。よくよく読んでみると、この本に載っている壺が2005年に30億円で落札されたと書いてあるではありませんか。どんな壺だったかなとページをさかのぼって写真を見たのですが、う~ん、これが30億円ですか。見た目数百万円くらいに思えるのですが。当時の中国陶磁では最高値だったそうで、イギリス人が購入したそうです。


 その本によると、その後2010年のサザビーズ・オークションで、28億円で落札された美術品があり、その後も魚文瓶が72億円で落札され、今現在、東洋の美術品では最高値だそうです。いずれも中国人が購入したようですね。


 美術品は世界を駆け巡るというか、世界各国から日本に入ってくるものもあれば、日本の美術品が海外に出ていくケースもあります。以前は朝鮮物や中国物が日本にもかなり入ってきていましたが、今では韓国へ行っても朝鮮の美術品は韓国の許可がなければ日本に持ち込めなくなりましたし、韓国では自国の美術品を見直す動きが盛んになり、逆に日本にある朝鮮の美術品が韓国内に持ち帰られるようになったようです。


 美術品の移動はその国の国力を反映するようで、先程の例にもあるように、最近では中国人が美術品を買い占めているようです。先日もテレビの特別番組で放送されていましたが、中国で成功した人がアメリカに移住するケースが多いのだそうです。その人たちは並みの大金持ちではなくて、50万ドルくらいのお金ならば、ハンドバックを買うくらいの感覚なのだそうです。50万ドルといったら4千万円ですぞ!4千円ではないのですぞ。これでは勝負にならないではないですか。

 
 日本は残念ながら最近国力が衰えてきているからなのか、美術品を購入するという文化がなくなってきていると、先程の本の解説者は嘆いていました。なるほど、そうかもしれませんね。


 最近読んだ本に「水惑星の旅」があるのですが、この本によると、最近日本の山が得体のしれない外国人に買い占められているのだそうです。山を丸ごと買うということは、そこを流れている川や水源も買い占められているわけです。日本は豊富に飲料水があるためあまり実感はないのですが、世界中で日本ほど飲み水に恵まれている国はないのだそうです。そこで、日本の水が狙われているのですね。うかうかしていると、そのうち石油タンカーに水を積んで海外に持って行かれてしまうということになりかねないとその本には書かれています。考えてみると我々日本人は、500mlあたり100円と、ガソリンより高価な水を飲んでいるのですよ。日本人はおっとりしているので、そのあたりの危機感に乏しいですから心配です。


 美術品も水も外国資本に買い占められてしまうのだろうか。