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2012年3月30日金曜日

乱塾時代

~いつか来た道とならないように~





 小学生のころに習字とそろばんを習った以外は、塾というものに通ったことがないのです。そもそもわが人生、一度も親から「勉強しろ」と言われたことはありません。大変な田舎に住んでいたため、たぶんですが周りに塾などに通っている友達はいなかったし、仮にいたとしても、うらやましいなどとは思わなかったでしょう。かわいそうな奴と同情していたに違いありません。自分はというと、いつも走り回っていたような気がしますし、ギターをはじめ自分のやりたいことや遊びに夢中になっていました。


 塾なるものに興味を持ったのは、大学生時代に「松下政経塾」が開校されると知った時です。こんな生活でいいのだろうかともがいていた自分にとっては、現状を打開できるきっかけになるのではないかと考えたからでした。結果的には入塾を断念することになりましたが、松下政経塾新聞をとって刺激を受け、「松下政経塾講話録」というシリーズ本が出されましたので、それを読むのをいつも楽しみにしていました。


 さて時代は変わって平成24年。大阪の「維新政治塾」から始まって、名古屋では「東海大志塾」 「河村たかし政治塾」が立ち上がりました。応募者も殺到しているようです。滋賀県では「未来政治塾」がスタートするようですし、既存の政治塾も含めると、結構な数にのぼります。この現象をどうとらえたらいいのでしょうか。


 日本の政治は、数年前に与党が自民党から民主党に変わり、既存の殻を破って何かやってくれるのではないかと国民はみんな期待したのですが、結局はばらまき政策もあって借金が増える一方で、将来の不安は増すばかりです。増えた借金に危機感を持ったのか、今度は増税に突っ走っています。震災の復興も全くスピード感はないし、将来の被災地のビジョンもなかなか伝わってきません。内閣の支持率も低下しているようです。


 こういった頼りない政治に、国民は不満と不安でいっぱいなのです。それではどこの政党を支持したらいいのかと考えても、なかなか思い浮かばない。そこで既存の政党ではなくて、何かやってくれそうな人にどうしても注目が集まってしまうのです。何やらこの国は危険ではないですか。


 歴史を振り返ると、昔、吉田松陰「松下村塾」がありました。これはきちんとしたポリシーがあったと思います。なんとか塾というのは言葉の響きもいいし、若者的にはなんだかかっこいいのですね。でも言葉で言っている政策内容の響きのよさだけでなく、その向こうに見えるものや実行可能性等も冷静に考えたうえで、本当に任せていいのかどうかを判断しなければならないのだと思います。


 マスコミがはやしたてすぎると一時的なブームに乗ってしまい、日本はあらぬ方向へ進んで行ってしまうのではないだろうかと心配になります。日本人は熱しやすいところがあるため、きちんと足を地につけた報道や政治を行っていかないと、いつか通ってきた道を歩んで同じ過ちを犯しかねないような気がする・・・というのは、ちょっと考えすぎでしょうか。