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2011年7月6日水曜日

耳を疑う発言

~知恵と汗~


  最近耳も目も悪くなってきたため、この発言が真実の事実なのかと記事を見た瞬間、我が目を疑いました。任命されたばかりの松本復興相(7/5辞任)が、宮城県知事との会談で「知恵を出さないやつは助けない」などと述べたのだそうです。こういった発言は、いったいどういう感覚の持ち主だと出てくるのでしょうか。ましてや未曾有の大災害に襲われて、絶望感のなかから少しでも光を見つけ出そうと、どん底の状態から必死になって立ち上がろうとしている人たちに対しての発言です。これから国を挙げて一緒に復興していきましょうというときの、一番責任ある立場の人の発言がこのありさまです。日本の政治家のレベルはこの程度なのかと正直悲しくなってしまいます。話の流れもあるし、真意のほどは別の所にあるのかもしれませんが、発言が事実であるとするなら、政治家としてというよりも、人としてどうなのだろうかと思ってしまいます。


  数年前、「頭を使って知恵を出せ!知恵の出せないものは汗を出せ!知恵も汗も出せないものは静かに去れ。」という言葉を教えてもらって、なるほどなと思ったのですが、調べてみると、永大産業の創業者、深尾茂氏の言葉のようです。松本前復興相の頭の中にこの言葉があったのかどうかはわかりませんが、この言葉はプロ集団や一般事業会社の中で通用する言葉であって、今回のケースでの発言としては、あきらかにふさわしくないです。


  震災直後は、悲しみを胸にしまってじっと耐えている被災者の姿や、不幸をだまって受け入れる精神的な強さ、またそういった方たちを応援しようと全国から集まる支援の声、思いやり、優しさ等に対し、世界中から日本人は素晴らしいと絶賛の声があがったのですが、その後の政治家の行動は目を覆うばかりです。もうすぐ震災から4カ月。いまだに復興相も決まっていないという異常事態ですし、震災がマスコミから取り上げられる頻度もだんだん減ってくるかもしれませんが、復興はまだまだこれからだと思います。


  知恵と汗といえば、最近一般的に組織の中では進んで汗をかく人が少なくなってきているような気がします。モチベーションをいかに高めたまま維持させるかというのが大事だと思うのですが、景気が悪くなって業績が悪くなってくると、決まってモチベーションが下がるような施策に走ってしまいがちですね。それでも人を動かすようなメッセージを送って、組織を引っ張っていくことができる人がいれば、組織内も活性化すると思うのですが、そういう経営者は残念ながら少ないのでしょう。
人が見ていないところで汗をかいていると、いつしかいい知恵も湧いてくるのだと思います。