~実務補習所の所長ということに~
今年も公認会計士試験の発表が行われ、いわゆる従来の2次試験に匹敵する受験生の合格者が3024名と、ついに三千人の大台を超えました。全国の合格者の中にもなかなか監査法人に就職できないケースもあるようで、4年ほど前のように、今後社会問題化するのではないかと心配になってきます。東海地区でも196名の合格者があり、東海実務補習所と東京実務補習所静岡支所で、それぞれ入所式が行われました。私も27年前の合格した当時のことを思い出してしまいます。
それが終了すると、いよいよ実務補習所の授業が始まります。東海会会長が実務補習所所長を兼ねることになっているので、いつの間にか私が一応所長ということになってしまいました。補習所の授業は、仕事が終わった後の18時から21時までということで、3時間あります。従来は20時ころに終わっていたケースも多かったようですが、今年は最低20時30分まではやるようにというコメント付きの講演依頼文書を頂いたため、教えるほうも結構大変なのだ。
私が話すテーマは「所長講話」と「職業倫理」です。このテーマで6時間も話すのも大変だよなぁと事前に思っていたのですが、話し始めてみるとつい熱が入ってしまい、それぞれ時間が足りなくて、最後のほうは時間がなく、みっちり3時間ずつ話してしまいました。昨年のときは、もう一回り小さい会場で話していたため、比較的受講生との距離が近かったのですが、今年は大会場になってしまったため、距離がありすぎてなかなか対話形式にならず、一方的にこちらから話しかけるしかなかったのが残念でした。それでも東京や大阪の場合は一回でできる会場がなくて、2回も話さなければならないことを考えると、東海はまだ恵まれているのだ。
「所長講話」といっても、私自身補習所時代はあまりまじめな受講生ではなかったので、難しい話を説教じみて話すことはできないため、テレビドラマ「監査法人」の話とか、酒を飲んで翌日動けなくなって、日本橋の駅で気持ちが悪くなって座り込んでしまい、遅刻をした話とか、忘年会で酔っ払って当時の主査やパートナーに殴りかかってしまった話とかで、こんなことをしてはいけませんよという話が多かったのですが、皆さん居眠りすることなく真面目に聞いているので、驚いてしまいました。
「職業倫理」の講演のときは、話している自分に酔ってしまい、いつの間にか3時間経過していました。もともとは倫理などというものは、生まれてから今まで生きてきている中で、親や学校で教わるべきもので、今の段階で私が教える類のものではないのですが、会計士としての職業に関することで最低限守るべきことは、話しておかなければなりません。教えていて思うのは、職業倫理の大部分が、教えてもらってどうということではなくて、教えられなくても自然に体に染みついていることが多いということなのですね。
たぶん眠くなるだろうから、眠っている人がいたら当ててやろうと虎視眈々と名簿を見ながら会場を眺めていたのですが、こちらの講義も皆さん真剣に聞いているので、結局は当てずじまいでした。われわれの補習所時代と違って、今の受講生は全体的にみなさんまじめなようです。