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2008年8月19日火曜日

NHKドラマ「監査法人」Q&Aシリーズその10

Q.10 「財政監督庁」とは、どのような組織ですか?


Ans
��. もちろん架空の組織です。
��. 金融庁の中の組織です。
��. 公認会計士協会の中の組織です。



 財政監督庁というのはもちろん架空の組織で、ドラマ用に作家の方が考え出した組織ですが、しいていえば金融庁が近いという事になるのでしょうか。ドラマの中では、宮島局長さんが、なかなかいい役を演じていらっしゃいましたね。


 公認会計士の組織としては、公認会計士協会があり、自主規制としての立場を貫いています。いわば、公認会計士全体を統括する立場にあるわけで、いろんな規則や会員に関わることなどは、理事会で決定することになっています。また、例えば品質管理レビューなども、会計士協会自らが各監査事務所の品質管理体制をレビューするようになっており、制度が出来てから7~8年になりますが、企業不祥事が相次ぐようになってきているここ数年は、年々厳しくなってきているようです。
 会計士協会が行う品質管理レビューは、大手監査法人の場合大体2年に1回対象になるのですが、内容的には、特定のクライアントが選定され、しっかりした監査が行われているかどうかを調査することになります。最近ではサプライズといって、あらかじめ対象クライアントを教えないで、いきなり当たるケースもあります。大体、一社当たり1週間くらいかけて行われ、その間いわゆる当たった監査チームは緊張感を持って、レビューに対応することになります。
 また、個別クライアントの監査の実施状況だけでなく、事務所全体の管理体制がどうなっているのかをヒアリングを行いながら調べていくことも行われます。例えば審査制度がどのようになっているか、監査担当者と審査を行う人が、独立しているかどうか、品質管理体制に不備はないかとか、研修制度はどうなっているかとか、調書の管理状況、人事評価はどうなっているか等等。我々日頃は監査する立場にあるわけですが、レビューを受けると、監査される側の立場がよくわかります。当たった人は大変で、私の担当する会社は、昨年は当たりませんでしたが、過去2回当たっています。何か問題があったら、責任問題になりますし、単に自分が責任を取ればいいというだけではなくて、法人全体の問題にも発展する可能性がありますので、大変神経を使います。


 また、公認会計士監査審査会という組織もあります。5年位前に金融庁の中の組織としてできました。公認会計士協会のほうで、監査事務所に対してレビューを行ってはいるのですが、当時はいろんな事件が相次ぎ、企業不祥事がなかなか減らなかったため、公認会計士協会のレビューが甘いのではないかという批判が出てきたのですね。決して甘かったということはなかったと思うのですが、時代が悪かったというか、そういう流れになっていったということだと思います。


 公認会計士監査審査会では、公認会計士協会の行ったレビュー結果をさらに調査するという目的で当初出来上がった組織ですので、会計士協会のレビューが当たった後は、必ず公認会計士監査審査会のレビューを受けることになります。
 ちょうどカネボウ事件をはじめ、いろんな会計不祥事を受けて、一昨年ぐらいに大手の4大監査法人に調査が入りました。数ヶ月にわたって行われましたが、これが大変厳しいものだったと聞いています。
 他にも大手監査法人の場合、社内のレビューがありますし、また、提携先のレビューもあるでしょう。感覚的には、一年中監査とレビュー対応に追われているという状況ではないでしょうか。


 監査が単に書類を作るだけの業務になってしまったら、それこそ監査に興味がなくなってしまい、監査現場を離れる若手会計士が増加することにもなりかねません。私は、監査という業務は大変魅力的な仕事だと思っていますので、そのあたりのところをどのように対応していくのか、大きな課題だと思っています。


もしかして、例年の中日本五会で、この問題を取り上げることになるかも・・・。