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2013年11月15日金曜日

「Silent Japan」制作記 その6

~「静和」と対面~

 Silent Japanの制作を、ヤイリギター小池健司さんに依頼したのが、「神代欅」のギタを受け取りに行ったときですので、ちょうど3年前になります。1年間の順番待ちがあったため、この間にインレイのイメージやギターの材質について考え、ギター全体のイメージを創り上げていきました。
 
 そして2年前に、加藤穂高さんから図案が届き、製作開始。時が経過し、そしていよいよ完成です。この待っている間は、私にとっては毎日に張り合いがあり、大変心地よい時間でした。

 「Silent Japanは、結局日本名で「静和」としました。

 
 

 写真の文字「静和」は、実家に飾ってある、他界した母親の「書」をデジカメで撮影し、同じ書体で加藤穂高さんに螺鈿で象嵌していただいたものです。

 また、ブリッジにも貝で象嵌していただきました。

 
 そして、サウンドホールの縁は、黒蝶貝」を使用し、落ち着いた雰囲気にしています。このインレイを、透明なピックガードで覆うことは、やはりできませんでした。自然な空気に触れさせて、時間をかけて板になじませたいと考えています。
 
 
 最後は全体像です。

 


 肝心な音はというと、大変よく鳴ります。特に低音が、「ビーン」とはじくような音がします。音色も私の好きな音で、以前に制作していただいた、神代欅の「朱雀」の音近い感じです。その鳴り具合に小池健司さんも驚いていましたが、制作過程でずいぶん気を使ったとおっしゃっていました。音がこもるのではないかという不安は、全くの杞憂に終わり、ほっと一安心です。

 
 「静和」を受け取りに行った日の午後は、ヤイリギターに近所の小学生が80人ほど工場見学に来る予定になっていたそうです。その中から将来、小池健司さん加藤穂高さんのような、ギターのクラフトマンを志す人が出てくれればいいなと思いながら、ヤイリギターを後にしたのでした。