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2009年7月3日金曜日

監査法人を去る人たち

~定年退職に独立に転職~


 6月30日は、監査法人にとって一つの区切りの日となります。3月決算の監査対象企業の総会が無事終了し、有価証券報告書を提出した段階で、監査的にはやっと一年が終わったなとほっと一息つくことができるのですね。そしてこの日をもって、人生に一つの区切りをつける人もたくさん出てきます。この日だけで私のメールの受信ボックスには20通ほどの「退職のご挨拶」が名古屋をはじめ全国から届きました。定年退職される方、独立される方等さまざまです。


 独立される方々は「おーし!やってやろうじゃないの」と意気込みを新たにして、期待と不安と開放感に満ち溢れていることでしょう。また、定年退職される方々は、やることはやった。「わが会計士人生一遍の悔いなし」といって、北斗の拳ラオウのように燃え尽きた人もいるでしょうし、もっと事務所に残っていたいという名残惜しい気持ちの人もいると思います。


 私の場合、東京事務所を事情があって去る時には、その法人の名古屋事務所がなかったため、やむを得ず退職せざるをえませんでした。今であれば、法人内の移動ということになるのですが、昔は監査法人も全国展開していなかったのですね。まだ若かったし、仲のいい同僚やいい後輩・先輩に恵まれて大変楽しい時代を過ごしていたし、東京という都会も気に入っていたので、辞める時はさすがに悩みました。それにしても定年退職で事務所を去る時の気持というのはどのようなものなのでしょうか。私の場合は定年まで勤めることはあり得ないので、想像もつきませんけど。


 監査法人を定年退職した場合の就職制限には結構厳しいものがあります。これでは職業選択の自由がないではないか、憲法違反ではないかと思うこともありますが、競業の問題もあるしクライアントへの天下りと思われることもあるので、辞めた後はおとなしくしていなさいねということなのでしょうね。


 定年以外で辞める場合で、しかも時間がたっぷりある人にとっては、まだまだいろんな可能性が残っています。税務で独立することもできるし、友人と新しく監査法人を立ち上げることも可能でしょう。京都監査法人大阪監査法人があるのなら、「名古屋監査法人」があってもいいではないかと考える人が出てきてもおかしくはないでしょう。


 あるいは一般企業に勤める会計士が増えてきてもいいのではないでしょうか。今後IFRSが導入されることになってくると、どうしても会計の専門家が必要になってきますので、ある程度経験を積んだ公認会計士こそふさわしいと思います。


 それとも退職したらまったく新しい職業についてみるのも面白いかもしれません。たとえば農業などいかがでしょうか。昼は農業、夜は税務でいわゆる「兼業農家」というやつです。おもしろそうでしょう。あるいはいっそのこと公認会計士を廃業して、趣味三昧もいいですね。旅行に温泉に音楽に映画、それにゴルフにバンド活動、骨董収集・・・等々。


 などと思っていられるのも、実際今厳しい仕事をして疲れているためいろいろ想像を膨らませているだけであって、いざ退職となったら酒びたりとなり、実は家でボォ~としているだけかもしれませんが。