~井戸を深く掘ったからこれまでやってこれた~
先日の中日新聞の朝刊で、ヤイリギターの社長である矢入一男さんがお亡くなりになったのを知り、大変ショックでした。
私が初めてヤイリギターの工場へ見学に行ったのは、2003年7月です。私の友人で、長くお付き合いさせていただいている、N鉄道のMさんに誘われて行きました。Mさんはカメラも趣味で、ヤイリの工場内の写真を何枚も撮影していたのですが、ちょうどギター材を保管してある倉庫に二人で入ったときに、社長とばったり出会いました。その時の写真がこれです(右側には私が写っているのですが、トリミングでカットしています)。私たちに気さくに話しかけてくれました。
その後私はとりつかれたように、ヤイリオリジナルギターの製作をお願いすることになるのですが、最初に作ったスペシャルコア材のギターで、トップがベァクロウ(熊が爪で引っ掻いたような模様の材)のギターを受け取りに行った(あるいはネックの調整にお伺いした)ときも、駐車場で矢入社長にばったりお会いできました。2006年6月の写真です(これも右側に私が写っているのですが、カットしました)。
すっかりヤイリファンになってしまった私は、矢入社長の映像や雑誌での発言にも注目するようになったのですが、私の手元にある2012年4月発売の週刊東洋経済には、矢入社長のこのような発言が記載されています。
「職人に恵まれた。経営効率は考えていない。・・・たわけの一つおぼえで同じことをやっている。井戸を深く掘ったのがよかった」
私は最初にMさんと工場見学に行って以来、もう何度もヤイリギターの工場へ行っていますが、行くたびに思うのは、Mさんからいただいた2003年に撮影した写真の中の、職人さん達の真剣なまなざし・表情が、今でも全然変わらないということです。
職人の技を大切にしてきた矢入一男社長のポリシーが、ヤイリギターには今でも脈々と受け継がれているのだと思います。
ヤイリファンは永遠です。