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2025年2月8日土曜日

鉅鹿

 ~君は一体何者?~


 「陶説」という雑誌を読んでいたら、青柳恵介さんのエッセイが掲載されていました。


 「以前鉅鹿(きょろく)の盃を持っていたが、手放してしまった…手放したことを後悔している」というものでした。


 鉅鹿? 知らない…。


 青柳さんは、鉅鹿は朝鮮陶磁の本歌だといいます。

 鉅鹿を知らずして、朝鮮陶磁は語れない…ということでしょうか。


 俄然興味がわいてきました。


 傍らにある陶磁器関係の本や雑誌をいろいろ調べて見ましたが、鉅鹿は出てきませんでした。


 ならば最後の手段!


 陶器関係の広辞苑ともいうべき、「原色陶器大辞典(加藤唐九郎編)」で調べましょう。

 頁をめくるのは、十年ぶりくらいになります。


 ありました! 鉅鹿。

 

 「鉅鹿の発見は、中国陶磁史を考えるうえでロゼッタ石の発見に相当しよう」


 と、結んでいます。


 なるほど…そうだったのか。勉強不足でした


 原色陶器大辞典によると、鉅鹿と磁州窯とは深い関係にあるようですが、磁州窯で頭に浮かぶ盃がありました。


 確か…「緑青」という雑誌に掲載されていたような…


 手元にある1991年10月発行の「古美術緑青」No4に、「辻清明コレクション 魯山人旧蔵」の鉅鹿の盃が掲載されていました。


 これだ…鉅鹿の盃!

 何度も何度も目を通した盃でした…てっきり磁州窯だとばかり思っていました。


 君は…鉅鹿だったのか!