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2013年9月23日月曜日

循環取引

~テレビドラマの場合~


 ここ数年会計監査人を悩ませているのが「架空循環取引」です。数年前、IT企業の間で行われ話題になりました。売上を水増しするために複数の取引先との間で何回も売上を循環させ、売上と利益を水膨れさせる手法ですが、最近ではいろんな業種で行われているようです。

 5年ほど前、NHKドラマ「監査法人」の制作にかかわったのですが、台本や筋書きを考えていた時に、第3話で架空循環取引を取り上げました。IT企業のウインドメルという会社が、新製品のマクガフィンという機械を循環取引に利用していたのですが、ジャパン監査法人の健司にどうやってこの架空循環取引を発見させるかずいぶん悩みました。公認会計士協会から、循環取引等への監査上の対応に関する会長通牒が出ているのですが、そこにも書かれているように、循環取引は取引先が実在し、資金決済が実際に行われ、会計記録や証票もしっかりあることから、なかなか発見するのは難しいのです。

 結局健司には、「売上高の増減分析」と「販売先への確認(ドラマでは実際に販売先に行ってヒアリングさせましたが、実際実務ではそこまではやりません)」という監査手法を実施させ、見事にからくりを暴いて見せました。でも、現実には発見するのはなかなか難しいと思います。

 テレビドラマ「監査法人」がDVDになる際に、付録としてドラマに出てくる専門用語の解説を書いたのですが、そこに書いた説明文を引用させていただきます。


【架空循環取引】
 複数の企業間で、実際には商品が動いていないにもかかわらず、伝票処理だけであたかも売買があったかのように見せかけて売上を計上する架空取引。当初は、ソフトウェアの売上計上基準があいまいな関係の企業間で、互いに共謀することにより行われていましたが、その後は企業に限らず行われていることが明らかになってきています。商品の移動が伴わなくても、伝票処理と入金があれば、循環取引の事実を監査で発見するのはなかなか難しいといわれていますが、商品の流れを追求することにより、健司は見事に架空循環取引の実態をつかんでしまいましたね。
~出典・・・NHKテレビドラマ「監査法人」DVD付録の用語解説~



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