私が今年最も注目していることの一つが、JA秋田おばこの会計監査の結果、どのような監査意見が出されるかです。
従来、農協の会計監査は、農協監査士によって行われていました。
それが農協改革の一環で、一定の基準を満たすJAに関しては、昨年7月1日からは監査法人や公認会計士による会計監査が義務付けられました。600以上のJAが対象になるといわれています。
私自身もおばこの会計監査をやってみたかったのですが、残念ながらその機会に恵まれませんでした…本当に残念です。
魁新聞の人事欄を見ていると、JA秋田中央会から農協監査を専門とする「みのり監査法人」へ出向や転籍する人が目についていたので、おそらく秋田県内の農協監査士たちが移ったのだと思われます。
一部の人たちからは、そのような状況ではJA監査は従来とあまり変わらないのではないかという話も聞きますが、私はそんなことはないと考えています。
監査法人(会計監査の専門家)がやる監査は、やはり違いますからね。
で、おばこの監査です。
昨日・今日の魁新聞にも「おばこの未金収問題」が大きく掲載されていました。
新聞からわかる範囲では、おばこには二つの未収金問題があると思われます…正確に言うと、一つの「売掛金」と一つの「未収入金」です。
一つは「宮城の卸会社に対する未収金(といっても売掛金ですが)」で、新聞によると現在12億円回収できていないそうです。
もう一つは、「関係役員に対して求めた損害賠償金の未収入金」です。
おばこは、宮城の卸会社の売掛金に対して、前期までは貸倒引当金を計上していないと思われますが、監査法人の監査が入った今期、
「回収可能として貸倒引当金を計上しないのか、あるいは一部または全額貸倒引当金を計上するのか」
それに対して監査法人は、卸会社に対して当然「残高確認」という監査手続きを実施するはずですが、
- その結果どのような判断をするのか
- その根拠は何か
- おばこと意見が一致するのかしないのか
注目しています。
役員に対する損害賠償の未収金も、未収計上するのかしないのか、回収できるのかできないのか、おばこ側と監査法人側とのやり取りがあるはずです。
私だったら、関係役員から損害賠償金を支払う確約書を入手し、入手できない場合は未収計上できないと判断するでしょう。
おばこと監査法人の判断が一致すると「適正意見」の監査報告書が出されます。
一致しなければ、「不適正意見」の監査報告書が、そして入手した資料だけでは判断できない場合、「意見差控え」の監査法報告書が出されるでしょう。
おばこの監査結果は、全国のJAはもちろん、監査法人の監督官庁である金融庁、監査業務審査会、公認会計士協会の品質管理レビューも間違いなく注目しています。
なれ合い監査はあり得ません。
どのような結果になるのでしょうか。