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2013年8月21日水曜日

夏の怪談

~もしかして幽霊?~


 今年の正月休み、高校の後輩が経営している不動産会社のHPを見ていたら、とても魅力的な土地と住宅が掲載されていました。かなり田舎ですのでたぶん冬は雪が多く、冬は住むのが大変そうな場所でしたが、そのことを除けば広さは申し分ないし、2008年に撮影したという写真には、素晴らしい日本庭園が写っています。春は桜が美しく、夏は蛍が舞い、秋の紅葉は見事だそうです。なんとなく魅力的な土地でした。

 早速高校の後輩であるその不動産会社の社長に電話して、「場合によっては購入を考えたいのだが、どんなところですか」と尋ねたのです。ところが、その社長はどうも歯切れが悪いのですね。「HPを読む限りでは、とてもよい土地に思えるのですが」とたたみかけましたが、「やめた方がいい」と言うではありませんか。そこで事情を聞くと、こういうことでした。

 その家は代々地主だったが、以前(いつかははっきりしない)子供が池に落ちて亡くなってから子供の幽霊が出るといううわさがあります。さらに先代は町の名士でかなりの実力者だったのですが、その方が市内で始めた事業が失敗に終わり、自ら命を絶ってしまいました。そして…出るんですよ、その方の幽霊が。見たという人がたくさんいます。

 
 同じ町内に親戚いたので聞いてみたのですが、確かにそんな噂を聞いたことがあると言っていました。これではあきらめるしかありません。

 さて今年の7月です。事情があって10日間ほど秋田へ帰っていたのですが、不動産会社の社長と会う機会があり、せっかくなので、その噂の土地を見せていただくことにしました。

 しばらく誰も住んでいないと聞いていたのですが、門に入った瞬間、日本庭園は荒れ放題で、元に戻すには相当なコストがかかりそうです。また、住宅もほとんど廃屋で、これでは解体して新しく建てなければならないようです。

 広い庭園や池を見せていただこうとさらに奥に入ろうとして、廃屋となった家の前を通ろうとしたところ、だれも住んでいないはずの家の中から、突然声をかけられました。びっくりして振り返ると、少しだけ空いた家の戸の奥から、顔中白いひげらだけのやつれた雰囲気の70歳くらいの人がこちらをのぞいているではありませんか。

「すみませんが、ここの土地を見させていただいてよろしいでしょうか」とお願いして奥の庭に入れていただいたのですが、その人の手には昭和30年代の雑誌「平凡」がありました。ちょうどこの家のご主人がお亡くなりになったころの雑誌でしょうか。

 しばらくこの土地を見せていただいた後、社長の車に乗り込んだのですが、みんな顔を見合わせて同じことを言ったのです。さっき家の中にいたのは、幽霊だったのではないかと。


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