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2012年2月17日金曜日

白磁で熱燗をいただく

~雑器でもいいから使えるものを~


 骨董といっても鑑賞陶器もあれば使って楽しめる雑器もあります。

 といっても前者はおそらく全く手が出ないため、私の場合はもっぱら使って楽しめるものが中心です。今回はこの冬に熱燗用として活躍している徳利をご紹介します。


 焼き物といっても陶器磁器があるのですが、土物の徳利を熱燗用として熱湯で温める気にはならないため、陶器はもっぱら冷酒用です。

 といっても、直接酒杯に注いだ方が早いということもあって、あまり使いませんが。それに対して磁器の徳利は、丈夫で傷つきにくいし、熱湯にも耐えられるため、燗酒用として冬場には大変重宝しています。



 
 この白磁の徳利は、李朝初期のものであるといわれて購入したのですが、いろいろ調べてみると、しもぶくれの形からいっても肌のつやからいっても、おそらく李朝後期のものなのでしょう。


 もともと李朝の陶磁器は、中国のものが完成度の高い作品が求められていたのと比べて、なんとなくアバウトで遊び心があるというか、おおらかで細部にとらわれない作品が多いです。


 この徳利もちょっと傾いているような気がしますし、愛嬌がある形が気に入っているのですが、口辺がちょっと歪んでいるため、いわゆる酒切れがあまりよくありません。


 したがって、お酒を注いだときに、注ぎ切れなかったお酒のしずくが、つつーっとしもぶくれの胴体に流れ落ちてくるのですね。

 それを、掌をすぼめて流れ落ちるのを止め、なでなでしながらお酒を徳利にしみこませるわけです。そうすると徳利に一段と艶が出てくるのですよ。これを「育てる」といいます。


 傍らでは、私の連れ合いが何を愚かなことをやっているのだというような顔をしていますが、それが楽しみなのだからいいではないですか。

 中には徳利と一緒にお風呂に入るという収集家もいるそうですから。
 
 
 磁器ですので、私の代だけではとても育てきれないと思うのですが、この先たくさんお酒をいただいて、魅力のある徳利に育ってもらいたいものです。