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2012年3月21日水曜日

「ALWAYS」から「下山の思想」へ

~希望に満ちた日々はもう終わったのか?~




 今年の冬にヒットした映画「ALWAYS 三丁目の夕日‘64」を私も見に行きました。昭和39年といえば東京オリンピックのあった年、ちょうど日本がすごい勢いで山に登っていた時期でもあります。映画を見ていて思ったのですが、よくこれだけ当時のものを集めたものだと思います。


 映画を3Dで見るのは初めての経験だったのですが、メガネの上にメガネをかけなければならなかったため、本来のメガネのパットが鼻の頭に食い込んで痛かったです。3Dメガネをはずしてみると映像がなんだかぼやけて見えるため、やむなくメガネを指で押さえ続けながら2時間30分見続けましたが、そういった不便さを吹き飛ばすほど映画自体は面白かったです。東京タワーのてっぺんが目に突き刺さりそうなくらい近くまで到達し、赤とんぼは手で払いたくなるくらい近くを飛び交い、紙飛行機が私の頭の横を通り過ぎていきました。なかなか迫力があったのだ。


 戦後の焼け野原から19年たって見事な復興を遂げた日本は、オリンピックの開催をきっかけに高度経済成長期に入っていきます。みんなが明るい未来を信じ、昨日よりも今日、今日よりも明日は必ず進歩していると実感できた頃でもあります。私も当時は小学生でしたが、確かに貧しかったけれど、自由でのびのびと過ごすことができ、そこら中に笑いがあったような気がします。


 そして現在。その年に生まれた赤ちゃんは、今ではもう47~48歳のはずです。五木寛之さん「下山の思想」によれば、昨年日本は下山の途中で、東日本大震災という第二の敗戦のような経験したのだけれど、再び山頂を目指して登りつめようなどということは考えずに、再び立ち上がって、実りの多い豊かな下山を続けてはどうかというのですね。


 確かに日本は、今まで奇跡的な発展を成し遂げてきたけれど、ちょっと無理をしすぎてきたような気もします。そしてその反動がいろいろな統計にも表れているようです。自分自身を振り返ってみてもそんな気がします。


一般企業を例にとってみても、通常50年間も一流企業でい続けるというのは、ごく少数の企業を除いて本当に数少ないと思います。新聞によると、名だたるグローバル企業でさえも何千億円もの赤字決算を組まなければならないのが今の日本の現状です。


 東京オリンピックのころを夢見て、再び頂上へ登りつめようとするのか、あるいは登りはもういいからゆっくり下山して行こうではないかと発想を転換をした方がいいのか、なかなか難しいところです。


 今の自分は、表面的には下山体制に入っているように見せかけているのですが、それは世を忍ぶ仮の姿。所を変えていろんな面で、もうひと踏ん張りしなければならないとひそかに考えているのです。