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2012年3月16日金曜日

消費税議論に思う

~国と民間の考え方の相違~




 消費税増税議論が盛んになってきていますが、先日ある新聞記事を読んでいて、多少の違和感を覚えました。直接税である所得税は、所得が増えるにしたがって税率が上がる累進税率を適用しているのですが、課税されるほどの所得がない人は所得税を払う必要はありません。これに対して間接税である消費税は、物を購入(消費)するたびに税金を負担していることになるため、所得があるなしにかかわらず、基本的には国民全員が負担することになります。ある面平等ではありますが、収入の少ない人にとっては物の値段が消費税分だけ上がることになってしまうため、ますます生活が苦しくなってしまいます。ここが消費税の難しいところです。


 消費税を増税する以上、このような逆進性はやむを得ないのであって、この事実を受け入れて増税するかどうかを議論するのかと思っていたのですが、政府・民主党の考え方はどうも違うようです。いわゆる所得の低い人たちに、1人当たり年1万円を支給するというのですね。対象者は所得税を支払うほどの所得のない人で、全国で数百万人に上るそうです。そして、支給するための経費が年間で最大一千億円規模になる可能性があるとも記載されています。


 そこでちょっと待てよなのです。数百万人の対象者を仮に5百万人と仮定しましょう。私の計算が正しいとすると、5百万人を対象に一人1万円支給すると、5百億円です。そして支給するための経費が1千億円というわけです。この5百億円を支給するのに1千億円かかるという発想が、なかなかすんなり腹の中に納まらないのですね。もっといい方法があるのではないのかと。


 一般事業会社では、例えば従業員の給与を5百億円増やすために、1千億円の経費がかかるというのであれば、決してこのようなことは実行しませんし、5百億円の増収を見込んで1千億円投資するということも、社会的貢献等よほどのことがないかぎりゴーサインは出ないでしょう。もっとも赤字球団を持つことはありますが、それは広告宣伝効果を考えての事です。


 本来国がやらなければならない政策は一般事業会社とは異なりますので、民間の発想ではおかしいと思っても、国としてやることは正しいと納得できることはたくさんあります。でもこれでは子ども手当の発想と一緒でばらまきと言われてもしょうがないでしょうね。一人1万円といえば月に9百円ほどです。事務経費に1千億円のお金を使うのであれば、もっと他に使い道がいろいろあると思いうのですが。また、1人一万円を支給するなどという安易な発想ではなくて、雇用を増やす、あるいは生涯賃金が増えるような施策をもっと考えていただけたらいいなと思います。



 同じ日の同じ新聞の別の面に、若手の新規就農を拡大するために、経営が不安定な就農直後の収入を保証する目的で、国が最長7年間にわたって年150万円を支給する仕組みの導入を検討しているという記事が掲載されていました。農業分野への若手の参入を促して、今現在1万人ほどいる若手就農者を2万人に増やすのが狙いだとそうです。


 こちらの記事は読んでいてしっくり腹の中に納まりました。