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2009年6月21日日曜日

九平次に出会った

~偶然に偶然が重なった奇跡なのだ~


 先日、東京事務所の友人から、「名古屋に【九平次】というおいしいお酒があると雑誌に出ていましたよ」という、うれしい連絡をいただいたのです。【九平次】というのはもちろん杜氏さんの名前なのでしょう。挑戦的な名前がなかなか気に入りました。杜氏さんの名前そのものを日本酒の銘柄にしているケースはけっこうあるようで、例えば私の故郷の秋田にも、能代の酒で【喜三郎の酒】という銘柄があります。自分の名前を銘柄にするくらいですので、よほど自信があるのでしょう。「どうだ!」という杜氏さんの意気込みが感じられますね。
 私の名前は「かおる」というのですが、あまり日本酒の銘柄に似合う名前ではないようです。確かにいい香りはしそうですが、なんとなく日本酒の持つ力強さに欠けてしまいます。芳香剤の名前に使えるくらいでしょうか。
「かおる」で思い出すのが、私が心から敬愛するギタリスト、石川鷹彦さんが愛用している「カオルギター」です。このギターは順番待ち状態で、数年以上待たないと出来上がってこないと聞いています。今から頼んでも、出来上がってくる頃には私の指も動かなくなっている可能性もあるため、注文は断念しています。でも私には「ヤイリギター」のゴッド・ハンド、小池健司さんがついているので、それでいいのだ。
 また、「カオリン」という名称も使えそうですが、これは陶磁器の原料だそうです。私の所有している高麗・李朝時代の骨董品もカオリンでできていると思うと、なんとなく愛着が湧いてきます。
この地域の日本酒については、東海会事務局の渡辺さんが詳しいので、早速【九平次】というという銘柄のお酒を知っているかどうか聞いてみたのですが、これはもう当然のごとく知っていて、緑区大高町にある酒蔵で作られていることや、このお酒が置いてある店もすらすら出てくるので、驚いてしまいました。いつかこのお酒を飲んでみたいと思いながら、東海会を後にしたのです。

 その日はたまたま早く帰ることができたので、帰りに骨董屋さんの前を通ったのですが、ちょうど閉店前10分でしたので、ちょっと顔を出してみることにして、店の中に入っていきました。するといきなり店の人が「越山さん、いいところに来た。いいお酒が手に入ったんだわ」というのですね。「えっ、なんというお酒ですか」と覗いてみたら、


ぬわんということでしょう。


 【九平次】ではありませんか。しかも私にくださるという。「本当にいただいちゃっていいんですか」と念押ししたのですが、「私にはこちらがありますので」といって一升瓶の【九平次】が出てきました。「これだと家まで持ち帰るのは大変でしょうから」といって、私に4合瓶を渡してくれたのです。「日本酒のためなら一升瓶でも持って帰れます」と言いたかったところですが、そこはぐっと我慢して、ありがたくいただいて家へ帰ったのでした。
 冷蔵庫で冷やした後、さっそく翌日お気に入りの李朝初期の徳利と、これも李朝初期の三島の盃でいただいたのですが、まさしく至福の時間を過ごすことができました。うまかったなぁ。手に入る店を教えてもらったので、今度は自分で注文して溜め込んでおくことにしようと思っているのです。